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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻5号

2009年04月発行

文献概要

今月の主題 癌や炎症と鑑別が困難な消化管悪性リンパ腫 主題

消化管悪性リンパ腫の生検病理診断―鑑別診断とその注意点を中心に

著者: 二村聡1 大島孝一2

所属機関: 1福岡大学医学部病理学講座 2久留米大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.875 - P.888

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要旨 消化管領域のリンパ増殖性病変における鑑別診断の作業段階は概ね3つに分けられる.1つは非腫瘍性病変と悪性リンパ腫との鑑別である.第2は悪性リンパ腫と他の悪性腫瘍との鑑別である.第3は悪性リンパ腫の病型をめぐる鑑別である.その難易度は様々であるが,なかでも第1の作業が難しい.特に小さな粘膜生検組織での鑑別作業遂行には限界がある.このような場合は,十分量の組織を採取したり,いくつかの補助診断手技を応用し,これらの結果を総合的に判断しながら鑑別作業を進めなければならない.その際,病理医は結果の解釈が独善的にならぬよう留意したい.一方,臨床医は挫滅のない良質な組織採取と漏れのない臨床記載を心がけるとともに病理医がいかなる解析手段を用いて,その結果がどのように解釈されて主診断に至ったのか,ぜひ把握していただきたい.

参考文献

1)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al(eds). World Health Organization Classification of Tumours of Haematopoietic and Lymphoid Tissues, 4th ed. IARC press, Lyon, 2008
2)大島孝一.悪性リンパ腫の基礎─分類.日内会誌 97 : 1515-1523, 2008
3)二村聡,池上雅博.悪性リンパ腫との鑑別を要するリンパ増殖性病変(非腫瘍性).早期大腸癌 8 : 379-390, 2004
4)二村聡,松野吉宏.低悪性度B細胞性リンパ腫─血液フロンティア 15 : 633-647, 2005
5)岩下明徳,植山敏彦,山田豊,他.胃のリンパ球浸潤性髄様癌(medullary carcinoma with lymphoid stroma)の臨床病理学的検索.胃と腸 26 : 1159-1166, 1991
6)Matsunou H, Konishi F, Hori H, et al. Characteristics of Epstein-Barr virus-associated gastric carcinoma with lymphoid stroma in Japan. Cancer 77 : 1998-2004, 1996
7)下山芳江,榊原綾子,中村栄男.各臓器,疾患で用いられる抗体とその応用─リンパ節.病理と臨床 25(臨増) : 155-163, 2007
8)二村聡,大島孝一.濾胞性リンパ腫─その今日的理解と病理診断を中心に.胃と腸 43 : 1019-1030
9)二村聡,岩下明徳,大島孝一.腸管悪性リンパ腫の病理─新訂WHO分類を中心に.胃と腸 41 : 278- 294, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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