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今月の主題 小腸疾患─小病変の診断と治療の進歩 序説
小腸疾患―小病変の診断と治療の進歩
著者: 飯田三雄1
所属機関: 1九州大学大学院病態機能内科学
ページ範囲:P.929 - P.930
文献購入ページに移動 近年,カプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡の登場によって,臨床現場における小腸疾患診療は飛躍的に進歩した.すなわち,従来は造影X線検査のみが小腸疾患診断の主役であったのに対し,近年はカプセル内視鏡,ダブルバルーン内視鏡,小腸X線検査の3者をうまく組み合わせて診断を進めていく時代となった.それに伴い,以前は困難であった小腸の小病変の診断が比較的容易となってきた.そして,症例の集積とともに,小腸小病変の疾患・病態への関わりの解明や新たな分類の考案などが必要となりつつある.このような観点から,本号では,小腸小病変にスポットを当て,その診断と治療における最近の進歩が取り上げられる.
本誌では約8年前に,「十二指腸の小病変」(36巻12号,2001年)と「十二指腸の非腫瘍性びまん性病変」(37巻6号,2002年)という2つの特集が組まれ,十二指腸小病変の診断と治療が取り上げられている.これは,パンエンドスコープの普及により,上部消化管内視鏡検査の一環として,十二指腸第2部までの観察がルーチン化し,小さな十二指腸病変の発見が増加したことによる.カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡はパンエンドスコープほど簡便かつ安価な検査ではないが,内視鏡検査の進歩・普及が小病変の発見増加をもたらしたという背景は類似している.小腸よりも観察が容易な十二指腸における小病変の特徴に精通しておくことは,小病変から成る小腸疾患や全身性疾患の診断に極めて有用な情報をもたらしてくれると考えられる.
本誌では約8年前に,「十二指腸の小病変」(36巻12号,2001年)と「十二指腸の非腫瘍性びまん性病変」(37巻6号,2002年)という2つの特集が組まれ,十二指腸小病変の診断と治療が取り上げられている.これは,パンエンドスコープの普及により,上部消化管内視鏡検査の一環として,十二指腸第2部までの観察がルーチン化し,小さな十二指腸病変の発見が増加したことによる.カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡はパンエンドスコープほど簡便かつ安価な検査ではないが,内視鏡検査の進歩・普及が小病変の発見増加をもたらしたという背景は類似している.小腸よりも観察が容易な十二指腸における小病変の特徴に精通しておくことは,小病変から成る小腸疾患や全身性疾患の診断に極めて有用な情報をもたらしてくれると考えられる.
参考文献
1)飯田三雄.家族性大腸ポリポーシスとGardner症候群の大腸外腫瘍状病変に関する研究.福岡医誌 69 : 169-200, 1978
2)中村昌太郎,松本主之,梁井俊一,他.消化管濾胞性リンパ腫の臨床的特徴─MALTリンパ腫およびDLBCLとの比較.胃と腸 43 : 1067-1079, 2008
3)Yano T, Yamamoto H, Sunada K, et al. Endoscopic classification of vascular lesions of the small intestine(with videos). Gastrointest Endosc 67 : 169-172, 2008
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