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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻6号

2009年05月発行

文献概要

今月の主題 小腸疾患─小病変の診断と治療の進歩 主題

小さな小腸病変より成る全身性疾患―アミロイドーシス

著者: 江口洋之1 多田修治1 吉田健一1 塩屋公孝1 上原正義1 藤本貴久1 村岡正武1 門野義弘1 鴻江勇和1 山本充了1 尾崎徹1 神尾多喜浩2

所属機関: 1済生会熊本病院消化器病センター 2済生会熊本病院病理

ページ範囲:P.1005 - P.1012

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要旨 消化管はアミロイド沈着の好発臓器であり,なかでも十二指腸,小腸は最も沈着の高度な部位である.アミロイドーシスの沈着様式はアミロイド蛋白別に特異性がみられ,蛋白ごとに形態学的特徴が異なる.AAアミロイドーシスでは粘膜固有層と粘膜下層血管壁が沈着の主体となり,内視鏡的には微細顆粒状隆起が多発する粗糙な粘膜が特徴的である.ALアミロイドーシスでは粘膜筋板と粘膜下層,固有筋層へ塊状沈着傾向がみられ,内視鏡的には粘膜下腫瘍様隆起の多発と皺襞の肥厚が特徴的である.今後はカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡による知見も増えてくることが期待されるが,本症の形態学的特徴を念頭に置いて診断することが重要と思われた.

参考文献

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2)安東由喜雄,植田光晴.アミロイドの前駆蛋白の生化学.石原得博(監),池田修一(編),アミロイドーシスの基礎と臨床.金原出版,pp 20-27, 2005
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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