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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻7号

2009年06月発行

文献概要

今月の主題 食道胃接合部腺癌の診断 主題

食道胃接合部腺癌のX線診断―早期癌形態を呈した病変の臨床病理学的特徴から

著者: 小田丈二1 入口陽介1 水谷勝1 大野康寛1 高柳聡1 冨野泰弘1 藤崎聡1 篠原知明1 岸大輔1 大村秀俊1 板橋浩一1 細井亜希子1 山田耕三1 細井董三1 山村彰彦2

所属機関: 1東京都多摩がん検診センター消化器科 2東京都多摩がん検診センター検査科

ページ範囲:P.1128 - P.1143

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要旨 食道胃接合部腺癌の臨床病理学的特徴について検討した.隆起性病変のうち,0IIa型は急速に深達せず,M~SMのまま一定期間,発育する傾向がみられたが,0I型では大きさに比例して深部浸潤し大きさと深達度の間にある程度の相関性を認めた.一方,陥凹型では一定の傾向がなく,潰瘍形成を伴う病変はすべてSM以深に浸潤していた.X線診断ではSCJ(squamocolumnar junction)の位置の確認とその周辺粘膜の詳細な観察が重要で,そのためには良質な二重造影像の撮影が必須であり,特に開口期型での撮影が重要と考えられた.この部位では特に解剖学的,組織学的背景を十分考慮に入れて,得られたX線像をいかに立体的に再構築しながら読影するか,またSCJの部位をいかに的確に指摘しうるか,が診断のポイントである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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