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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻7号

2009年06月発行

文献概要

今月の主題 食道胃接合部腺癌の診断 主題

食道胃接合部腺癌の通常内視鏡診断―通常内視鏡の立場から─臨床病理学的事項に基づいて

著者: 高林広明1 長南明道1 三島利之1 三宅直人1 石橋潤一1 中堀昌人1 松田知己1 羽根田晃1 濱本英剛1 水野浩志1 宮下祐介1 李仁1 望月福治2 岩間憲行3

所属機関: 1仙台厚生病院消化器内視鏡センター 2仙台厚生病院健康管理センター 3仙台厚生病院病理部

ページ範囲:P.1145 - P.1154

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要旨 近年,欧米では噴門部すなわち食道胃接合部における癌の発生率が急速に増加し,白人男性においては胃癌全体のほぼ半数を占めるに至った.一方,本邦では依然として非噴門部癌が多く,噴門部癌の割合は低い.しかし,本邦でも胃食道逆流症が増加しており,食道胃接合部癌の発生率の増加が危惧されている.そこで,本稿では初期の食道胃接合部腺癌の臨床病理学的事項を検討した.その結果,食道胃接合部腺癌は,高齢男性において,中等度以上の萎縮性胃炎を背景とし,食道胃接合部直下小彎に多く認められた.その形態が陥凹型の場合はほとんどが発赤調であり,隆起の場合は発赤調もしくは褪色調のいずれも呈しうることがわかった.また,高率に重複癌を伴っており,食道胃接合部腺癌を認めた際には,胃全体を注意深く観察する必要があると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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