大腸SM癌内視鏡治療の中期予後―大腸癌研究会「内視鏡治療後の至適サーベイランス」プロジェクト研究班アンケート調査から
著者:
岡志郎
,
田中信治
,
金尾浩幸
,
五十嵐正広
,
小林清典
,
佐野寧
,
斉藤裕輔
,
山本博徳
,
斉藤豊
,
飯石浩康
,
城卓志
,
青山伸郎
,
津田純郎
,
工藤進英
,
浦上尚之
,
渡辺聡明
,
松本主之
,
寺井毅
,
味岡洋一
,
加藤洋
,
藤盛孝博
,
岩下明徳
,
石黒信吾
,
下田忠和
,
長廻紘
,
杉原健一
,
武藤徹一郎
ページ範囲:P.1286 - P.1294
要旨 大腸癌研究会プロジェクト研究「内視鏡治療後の至適サーベイランス」参加28施設において,種々の理由により内視鏡摘除後に外科的追加切除を行わず経過観察した大腸SM癌症例についてレトロスペクティブにアンケート調査を行った.15施設から回答をいただき,総症例数792例中,再発・転移症例を18例(2.3%)に認めた.粘膜内再発を4例に認めたが,そのうち2例に転移再発を認めた.SM以深浸潤癌,あるいは転移として再発した16例のうち,SM以深浸潤癌としての局所再発を11例,転移再発を13例に認めた(重複あり).このうちSM浸潤実測値が明らかな15例を検討するとSM浸潤実測値1,000μm未満の症例は3例で,これら以外はすべて1,000μm以深癌であった.転移再発臓器(重複あり)は,肺5例,肝臓4例,リンパ節4例,骨2例,副腎1例,脳1例で,原病死を6例に認めた.内視鏡摘除から再発までの平均期間は22.0±21.1か月で,16例(88.9%)が内視鏡摘除後3年以内に再発していた.今回の解析結果から内視鏡摘除後の大腸SM癌根治判定基準である“SM浸潤実測値1,000μm未満,組織型が高分化・中分化腺癌,脈管侵襲陰性”の条件を満たせば,内視鏡摘除のみで経過観察可能と考えられた.