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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻8号

2009年07月発行

文献概要

今月の主題 大腸SM癌内視鏡治療の根治基準をめぐって─病理診断の問題点と予後 序説

大腸SM癌内視鏡治療後の根治判定基準の変遷と問題点および将来展望

著者: 田中信治1

所属機関: 1広島大学内視鏡診療科

ページ範囲:P.1209 - P.1211

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 今回の「胃と腸」2009年7月号の特集として“大腸SM癌内視鏡治療の根治判定基準をめぐって─病理診断の問題点と予後”を取り上げた.2005年に大腸癌研究会から「大腸癌治療ガイドライン」が発刊され1),内視鏡的切除後の大腸SM癌の取り扱いや根治判定基準が改定され,SM浸潤度の浸潤距離実測による絶対値評価法が確立された.さらに従来,超微小SM浸潤(300μm)までしか内視鏡的切除後に根治と判定されなかったが,ほかの病理学的条件(組織型,脈管侵襲など)を満たせばSM浸潤1,000μm程度まで根治と判定できるようになったため,内視鏡治療で根治と判定できる条件が拡大された1)~4)

 一方で,SM浸潤1,000μmという絶対的数値が独り歩きしているきらいがあり,SM浸潤1,000μmを超えた深部浸潤癌には外科的追加切除を考慮すべきであるというのは,あくまで指針であることが理解できておらず,根治基準からはずれた症例はすべて追加腸切除を施行しなくてはならないと思いこんでいる先生も多いようである.また,SM浸潤距離実測の具体的方法が一線の臨床の場で正しく理解されておらず,まだ標準化していないという問題点も指摘されている.本特集号では,これらの疑問点や問題点が,雲が晴れるように解消されることを目的として企画された.

参考文献

1)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン,医師用2005年版.金原出版,2005
2)田中信治.内視鏡治療,外科治療─内視鏡摘除されたpSM癌.武藤徹一郎(監),杉原健一,島田安博(編).ガイドラインサポートハンドブック─大腸癌,改訂版.医薬ジャーナル社,pp 30-33,2008
3)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,6版.金原出版,1998
4)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,7版.金原出版,2006
5)喜多嶋和晃,藤盛孝博,藤井茂彦,他.大腸sm癌の取り扱い─sm浸潤度の規定はどうあるべきか? 武藤徹一郎(監),渡辺英伸,杉原健一,多田正大(編).大腸疾患NOW.日本メディカルセンター,pp 49-59,2004
6)武田純,長廻紘,奥山隆,他.大腸sm癌の取り扱い─内視鏡治療後の追加手術が必要な条件.武藤徹一郎(監),渡辺英伸,杉原健一,多田正大(編).大腸疾患NOW.日本メディカルセンター,pp 60-69,2004
7)Kitajima K, Fujimori T, Fujii S, et al. Correlations between lymph node metastasis and depth of submucosal invasion in submucosal invasive colorectal carcinoma : a Japanese collaborative study. J Gastroenterol 39 : 534-543, 2004
8)蓮田究,角川康夫,藤井隆広,他.IIa+IIc型sm微小浸潤癌でリンパ節転移再発を呈した1例.早期大腸癌 7 : 351-356, 2003
9)Ueno H, Mochizuki H, Hashiguchi Y, et al. Risk factors for an adverse outcome in early invasive colorectal carcinoma. Gastroenterology 127 : 385- 394, 2004
10)立石陽子,谷口浩和,中西幸浩,他.大腸sm癌のリンパ節転移危険因子の検討.胃と腸 41 : 1233-1240, 2006
11)大腸sm癌の治療法の選択.第56回大腸癌研究会プログラム・抄録集.2002
12)田中信治,工藤進英,鶴田修.早期大腸癌内視鏡治療ガイドライン.日本消化器内視鏡学会(監),日本消化器内視鏡学会卒後教育委員会(編).消化器内視鏡ガイドライン,3版.医学書院,pp 284-298,2006
13)Tanaka S, Oka S, Chayama K. Strategy of endoscopic treatment for colorectal tumor : recent progress and perspective. Niwa H, Tajiri H, Nakajima M, et al.(eds). New Challenges in Gastrointestinal Endoscopy. Springer, Japan, pp 353-366, 2008
14)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン,医師用2009年版.金原出版,2009(in press)
15)田中信治,藤盛孝博.内視鏡的摘除標本の切除断端に関して.武藤徹一郎(監),杉原健一,藤盛孝博,五十嵐正広,他(編).大腸疾患NOW 2008.日本メディカルセンター,pp 59-60,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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