icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻8号

2009年07月発行

文献概要

今月の主題 大腸SM癌内視鏡治療の根治基準をめぐって─病理診断の問題点と予後 主題

大腸SM癌の病理診断とその問題点―断端の評価

著者: 河野弘志1 鶴田修12 長谷川申1 有田桂子1 佐田通夫1

所属機関: 1久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門 2久留米大学医学部消化器病センター

ページ範囲:P.1255 - P.1262

文献購入ページに移動
要旨 内視鏡下切除を行った結果,癌がSM断端近傍まで認められた,または断端に露出していた場合,その後の追加腸切除が必要であるかを知るために,内視鏡下切除を行い,その後に外科的追加腸切除が行われた大腸SM癌45病変を対象として,SM断端の状態とリンパ節転移や追加腸切除時の腸管内癌遺残などの関係について検討した.その結果,45病変中5病変(11.1%)にリンパ節転移を認め,そのうち4病変がSM断端500μm未満または断端陽性であった.またEMR後追加腸切除された症例で,検討が可能であった35病変中,SM断端500μm未満の1病変およびSM断端陽性の1病変において腸管内に癌の遺残が認められた.以上のことからSM断端500μm未満およびSM断端陽性の病変では外科的追加腸切除を行うべきであると考えられた.

参考文献

1)鶴田修,河野弘志,唐原健,他.大腸疾患に関する拡大内視鏡の限界.臨消内科 21 : 467-475, 2006
2)林俊壱,味岡洋一,太田宏信,他.VI型pitを構成する個々の所見─SM massive癌診断における間質所見の重要性 : 「stromal areaの染色性低下」とSA patternの意義.早期大腸癌 11 : 409-413, 2007
3)佐野寧,堀松高博,片桐敦,他.大腸におけるnarrow band imaging(NBI)観察の臨床意義について.胃と腸 41 : 1793-1800, 2006
4)田中信治,平田真由子,岡志郎,他.大腸腫瘍の診断・治療におけるNarrow Band Imaging(NBI)の役割.Gastroenterol Endosc 50 : 1289-1297, 2008
5)辻雄一郎,鶴田修,河野弘志,他.Ip・Isp型大腸癌の深達度診断─拡大内視鏡を中心として.胃と腸 37 : 1571-1581, 2002
6)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン,医師用2005年版.金原出版,2005
7)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,7版.金原出版,2006
8)河野弘志,鶴田修,有田桂子,他.通常内視鏡診断の現状─色素内視鏡も含めて : 内視鏡診断の基本.Intestine 13 : 105-111, 2009
9)工藤進英,大森靖弘,樫田博史,他.大腸の新しいpit pattern分類─箱根合意に基づいたVI,VN型pit pattern.早期大腸癌 9 : 135-140, 2005
10)小平進,八尾恒良,中村恭一,他.sm癌細分類からみた転移性大腸sm癌の実態─アンケート調査集計報告.胃と腸 29 : 1137-1142, 1994
11)味岡洋一,林俊壱.切除材料の取り扱い.大腸EMR・ESDの基本手技.田中信治(編).メジカルビュー社,pp 172-175, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?