icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻8号

2009年07月発行

文献概要

今月の主題 大腸SM癌内視鏡治療の根治基準をめぐって─病理診断の問題点と予後 主題

大腸SM癌内視鏡治療の中期予後―「大腸癌治療ガイドライン」の検証

著者: 浦上尚之12 五十嵐正広13 千野晶子1 加藤薫1 岸原輝仁3 小川大志3 鹿取正道45 山本智理子45

所属機関: 1癌研有明病院消化器センター 2浦上内科外科医院 3癌研有明病院内視鏡診療部 4癌研有明病院病理部 5癌研究会癌研究所病理部

ページ範囲:P.1279 - P.1285

文献購入ページに移動
要旨 「大腸癌治療ガイドライン」発刊前後の大腸SM癌内視鏡摘除後の治療方針と再発について132病変を検討し,臨床におけるガイドラインの意義と中期予後について明らかにした.ガイドライン発刊によって,経過観察推奨群は経過観察する割合が上昇し,手術推奨群でも手術する割合が上昇していた.また,発刊後の手術推奨群で経過観察とした7病変中5病変は他病死しており,追加手術の適応はなかったと考えられる.ガイドライン発刊によって,SM癌の内視鏡摘除後の治療指針がより明確になり,的確に治療方針を決定できるようになったと考えられた.今回の検討では,発刊前後にかかわらず,経過観察推奨群および手術推奨群において経過観察を行っている症例に再発を来した症例は認められず,現在のガイドラインは妥当であると考えられる.また,今回は2年以上の経過観察症例を検討しているが,長期の経過観察が必要と考えられた.

参考文献

1)厚生労働省大臣官房統計情報部.平成19年人口動態統計月報年計(概数)の概況.2008
2)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン.金原出版,2005
3)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,7版.金原出版,2006
4)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,6版.金原出版,1998
5)味岡洋一,横山淳二,渡辺英伸.大腸sm癌のリンパ節微少転移(lymph node micrometastasis)と脈管侵襲.早期大腸癌 5 : 471-477, 2001
6)浦上尚之,五十嵐正広,千野晶子,他.大腸SM癌の内視鏡切除後のfollow up─サーベイランスに向けて(局所再発,転移再発).胃と腸 42 : 1470-1476, 2007
7)横山正,横田敏弘,斉藤大三,他.内視鏡的ポリペクトミー6年6カ月後に局所再発をきたした大腸粘膜下浸潤癌の1例.Prog Dig Endosc消化器内視鏡の進歩 46 : 194-195, 1995
8)伊藤真央,鈴木隆文,太田岳洋,他.大腸sm癌polypectomy後6年目に肝転移再発をきたした1例.日臨外会誌 60 : 1442, 1999
9)松田圭二,正木忠彦,横山正,他.大腸sm癌で内視鏡的切除後に骨盤内再発を呈した1例.胃と腸 34 : 811-815, 1999
10)味岡洋一,田中信治.大腸SM癌内視鏡切除標本の SM 浸潤度判定の実際と問題点─大腸癌研究会プロジェクト研究から.胃と腸 42 : 1501-1510, 2007
11)田中信治,五十嵐正広,小林清典,他.大腸SM癌内視鏡治療後のサーベイランス.武藤徹一郎(監),杉原健一,多田正大,藤盛孝博,他(編).大腸疾患NOW2007,日本メディカルセンター,pp 112-120, 2007
12)Ueno H, Mochizuki H, Hashiguchi Y, et al. Risk factors for an adverse outcome in early invasive colorectal carcinoma. Gastroenterology 127 : 385-394, 2004
13)河内洋,小池盛雄.大腸癌研究会簇出検討プロジェクトの結果.武藤徹一郎(監),杉原健一,多田正大,藤盛孝博,他(編).大腸疾患NOW 2007,日本メディカルセンター ,pp 87-92, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?