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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻9号

2009年08月発行

今月の主題 背景粘膜からみた胃癌ハイリスクグループ

主題

経過観察例からみた胃癌ハイリスクグループ―胃X線検査の立場から

著者: 中原慶太1 鶴田修2 渡辺靖友1 松尾健1 杉山元1 有田桂子1 長谷川申1 河野弘志1 佐田通夫1

所属機関: 1久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門 2久留米大学医学部消化器病センター

ページ範囲:P.1344 - P.1356

文献概要

要旨 目的:X線的胃粘膜萎縮度からみた胃癌ハイリスクグループの抽出.対象:胃癌発見3年以上前のX線画像の見直しが可能であった逐年受診発見胃癌82例.方法:発見3年以上前のX線画像における萎縮度(grade 1~3)と発見胃癌の臨床病理学的因子の関係の分析.結果:単変量解析では萎縮度別に,年齢(歳),性別(女性,男性),F線領域(F線内部,近傍,外部),肉眼型(陥凹型,隆起型),組織型(未分化型癌,分化型癌)に有意差が認められた.多変量解析ではF線領域と組織型が独立した危険因子で,grade 1と萎縮が弱いほどF線内部領域,未分化型癌の発生リスク,grade 2,3と萎縮が強いほどF線外部領域,分化型癌の発生リスクが高かった.結論:より的確な癌発見のためには,X線的萎縮度別にF線領域と組織型を考慮した撮影・読影体制を構築する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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