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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻9号

2009年08月発行

文献概要

今月の主題 背景粘膜からみた胃癌ハイリスクグループ 主題

胃癌発生の背景粘膜―人間ドックにおける内視鏡検査からの検討

著者: 井上和彦12 藤澤智雄2 千貫大介2 串山義則2

所属機関: 1松江赤十字病院総合診療科 2松江赤十字病院消化器内科

ページ範囲:P.1367 - P.1373

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要旨 人間ドックにおける内視鏡検査による胃癌スクリーニングは,胃癌発見率0.30%,内視鏡治療率40.9%,早期胃癌率89.6%,粘膜内癌率67.6%と高く,胃癌の早期発見・早期治療,QOL向上に寄与していると考えられた.しかし,前年度内視鏡写真の見直しで約半数が見落とし病変とも考えられ,さらなる精度向上が求められた.内視鏡発見胃癌の背景粘膜は分化型のみならず,未分化型においてもopen typeの胃粘膜萎縮が多く,胃癌診断における胃粘膜萎縮の把握の重要性が示唆された.また,1996年度受診者について内視鏡的胃粘膜萎縮別にその後11年間の発見胃癌の頻度を検討すると,C-0・C-1群で0.0%(0/591),C-2・C-3群で2.2%(9/406),O-1・O-2群で4.4%(13/294),O-3・O-p群で10.3%(4/39)であり,胃粘膜萎縮の進展に伴い頻度は高くなっていた.このことからも胃粘膜萎縮の把握は重要と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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