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文献詳細

雑誌文献

胃と腸44巻9号

2009年08月発行

文献概要

症例

多発性粟粒大隆起を結腸の広範囲に認めた無症候性腸結核の1例

著者: 吉野総平1 平川克哉1 谷口雅彦1 天野角哉1 中島豊2 八尾哲史3 河内修司3 松本主之3 飯田三雄3

所属機関: 1福岡赤十字病院消化器科 2福岡赤十字病院病理 3九州大学大学院医学研究院病態機能内科学

ページ範囲:P.1477 - P.1482

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要旨 症例は57歳,男性.人間ドックで胸部X線の異常陰影と便潜血陽性を指摘されたため,諸検査を施行した.大腸内視鏡検査では回腸末端に小潰瘍が多発し,上行結腸から下行結腸の広範囲に粘膜下腫瘍様の粟粒大隆起が多発していた.1か月後に再度施行した大腸内視鏡検査では,前回の粟粒大隆起が増加し癒合傾向がみられ,生検にて乾酪性肉芽腫が確認された.さらに,喀痰,胃液,糞便の培養検査で結核菌が検出されたため,肺結核および続発性腸結核と診断した.3剤併用療法を開始し,3か月後には大腸病変は萎縮瘢痕帯へと推移した.一般に,活動性腸結核では種々の進展時期の病変が多中心性に混在して認められるのに対し,自験例は初期病変が広範囲に多発して認められた点が特徴的であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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