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今月の主題 早期胃癌のIIb進展範囲診断 序説
早期胃癌のIIb進展範囲診断の問題点
著者: 浜田勉1
所属機関: 1東京都東部地域病院内科
ページ範囲:P.10 - P.13
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早期胃癌の拡がりは従来の外科的手術において切除範囲を決めるうえで重要であったが,胃では食道におけるヨード染色のような容易でかつ明瞭に癌進展を観察できる方法がなかったため,多くの先達がその診断に苦慮してきた.さらに近年,早期胃癌に対するESD(endoscopic submucosal dissection)による内視鏡治療の開発・普及に伴い,広範囲の粘膜切除が可能となり,その実施に当たっては深達度診断のみならず病巣全周の正確な境界診断が必要となってきた.特に,通常内視鏡観察では困難とされてきた癌に随伴するIIb病変の進展範囲診断の重要性が指摘され,この点を指向した拡大内視鏡やNBI(narrow band imaging)など種々の診断技術の進歩が認められている.現時点で,これら最新の診断技術がIIb進展範囲診断をいかに可能にしているか,その到達点と残された課題を検討するのは時代的要請と言える.
早期胃癌の拡がりは従来の外科的手術において切除範囲を決めるうえで重要であったが,胃では食道におけるヨード染色のような容易でかつ明瞭に癌進展を観察できる方法がなかったため,多くの先達がその診断に苦慮してきた.さらに近年,早期胃癌に対するESD(endoscopic submucosal dissection)による内視鏡治療の開発・普及に伴い,広範囲の粘膜切除が可能となり,その実施に当たっては深達度診断のみならず病巣全周の正確な境界診断が必要となってきた.特に,通常内視鏡観察では困難とされてきた癌に随伴するIIb病変の進展範囲診断の重要性が指摘され,この点を指向した拡大内視鏡やNBI(narrow band imaging)など種々の診断技術の進歩が認められている.現時点で,これら最新の診断技術がIIb進展範囲診断をいかに可能にしているか,その到達点と残された課題を検討するのは時代的要請と言える.
参考文献
1)西上隆之,小嶋高根,堀公行,他.病理からみた胃癌の粘膜内浸潤範囲診断.胃と腸 36 ; 1257-1264, 2001
2)菅野聡,大井田正人,山縣さゆり,他.電子内視鏡による陥凹・平坦型早期胃癌の浸潤範囲診断の検討.Gastroenterol Endosc 39 : 650-658, 1997
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