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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻1号

2010年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌のIIb進展範囲診断 主題

内視鏡による早期胃癌のIIb進展範囲診断―NBI拡大内視鏡の立場から

著者: 小山恒男1 高橋亜紀子1 北村陽子1 友利彰寿1 篠原知明1 堀田欣一1 宮田佳典1

所属機関: 1佐久総合病院胃腸科

ページ範囲:P.109 - P.122

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要旨 2005年5月~2008年4月にESDを施行した分化型優位胃癌のうち,NBI拡大内視鏡所見と病理組織所見の詳細な対応が可能であった458病変を対象とし,肉眼型別の側方進展範囲診断正診率と誤診原因を検討した.NBI拡大内視鏡による分化型優位胃癌の側方進展範囲診断正診率は97.4%,ESD切除後の側方断端陰性率は99.2%と良好であった.肉眼型別に検討すると,IIb非合併例での側方進展範囲診断正診率は100%(427/427)であったのに対し,IIb合併例では61%(19/31)であった.誤診12例を再検討したところ,全例がIIb合併例であり,合計19か所で側方進展範囲を誤診していた.その理由として,胃角など近接が困難で拡大観察ができなかった“場所の要因”と,通常観察でIIb部分が認識されず,拡大観察も施行されなかった“通常観察時の見落とし”が挙げられた.しかし,残りの68%(13/19)ではNBI拡大観察が施行されていたが,IIbの進展範囲を誤診していた.これらの誤診例は全例がvilli様の表面構造を有し,背景粘膜の表面構造もvilli様であった.したがって,背景粘膜がvilli様構造を呈し,癌部もvilli様の表面構造を有する場合の側方進展範囲診断が残された課題である.

参考文献

1)Yao K, Oishi T, Matsui T, et al. Novel magnified endoscopic findings of microvascular architecture in intramucosal gastric cancer. Gastrointest Endosc 56 : 279-284, 2002
2)八木一芳,佐藤聡史,中村厚夫,他.早期胃癌の画像診断─範囲診断のための精密検査 : 拡大内視鏡検査─NBI併用拡大内視鏡と“化学的”内視鏡診断.胃と腸 44 : 663-674, 2009
3)小山恒男,高橋亜紀子,北村陽子,他.咽頭・食道─Barrett食道癌の拡大内視鏡診断.胃と腸 42 : 691-695, 2007
4)高橋亜紀子,小山恒男,友利彰寿.食道胃接合部腺癌のNBI 拡大観察による診断.胃と腸 44 : 1164-1174, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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