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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻1号

2010年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌のIIb進展範囲診断 主題

外科手術症例から振り返る早期胃癌の随伴0IIb範囲診断

著者: 宮永太門1 細川治2 海崎泰治3 浅海吉傑1 遠藤直樹1 北村祥貴1 平沼知加志1 林田有市1 大田浩司1 道傳研司1 服部昌和1

所属機関: 1福井県立病院外科 2横浜栄共済病院外科 3福井県立病院臨床病理科

ページ範囲:P.141 - P.150

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要旨 2001年から2008年までに福井県立病院外科で開腹手術した早期胃癌651例のうち,随伴0IIbとした症例は53例(8.1%)であった.非随伴群と比較すると,随伴0IIb群での男女比は,7.83:1と男性が多く,癌巣全体の平均腫瘍径は5.1cmであり,非随伴群の2.7cmより大きかった.リンパ節転移は随伴0IIb群の13.2%が陽性であり,非随伴群の4.2%より多かった.組織学的断端陽性は随伴0IIb群の3.8%に認め,非随伴群の0.5%より多かった.組織型を分化・未分化の2つに分けた場合でも,両組織型において随伴0IIb群で男性が多く,腫瘍径が大きかった.未分化型癌随伴0IIb群においてはSM癌比率が低いにもかかわらず,リンパ節転移率が高かった.分化型癌で随伴0IIb群は多発癌が多かった.随伴0IIb部分の平均径は2.1cmで,全例粘膜内浸潤で,主たる進展は前後壁方向に多かった.主病変部と随伴0IIb部分の境界を検討すると,明瞭なものが21例,不明瞭なものが32例,明瞭なものには隆起型が多く,周囲粘膜に腸上皮化生が存在すると境界が不明瞭となることが多かった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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