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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻10号

2010年09月発行

早期胃癌研究会症例

正常粘膜下に広範囲に側方進展した大腸SM癌の1例

著者: 本田洋士1 永田信二2 金子真弓3 中山奈那1 斧山美恵子1 鴫田賢次郎1 桑原健一1 木村茂1 辻恵二1 大越裕章2 坂谷暁夫3 日高徹1

所属機関: 1広島市立安佐市民病院内科 2広島市立安佐市民病院内視鏡科 3広島市立安佐市民病院臨床検査科

ページ範囲:P.1708 - P.1714

文献概要

要旨 患者は60歳代,男性.主訴は便潜血陽性.大腸内視鏡検査で直腸Raに大きさ約10mm大の表面凹凸不整なIs病変を認めた.NBI拡大観察では不整な網目模様と間接的に不整なpitを認め,広島大学分類のC2,クリスタルバイオレット染色による拡大観察では,隆起の立ち上がりから頂部にかけてVI型pit pattern(高度不整)であった.以上より深達度SM深部浸潤が疑われたが,直腸病変のため,total biopsy目的でESDを施行した.病理組織結果は,中分化管状腺癌,SM実測値4,900μm(表層より測定),脈管侵襲ly2,v3で,隆起部とその周囲の粘膜下層に脈管侵襲を伴って広範囲に浸潤し,一部,粘膜固有層内に逆行性に浸潤する像を認め,水平断端,垂直断端,いずれも陽性であった.

参考文献

1)Hirata M, Tanaka S, Oka S, et al. Evaluation of microvessels in colorectal tumors by narrow band imaging magnification. Gastrointest Endosc 66 : 945-952, 2007
2)Sano Y, Muto M, Tajiri H, et al. Optical/digital chromoendoscopy during colonoscopy using narrow-band imaging system. Dig Endosc 17 : S43-48, 2005
3)二上敏樹,斎藤彰一,田尻久雄,他.Narrow Band Imaging(NBI)拡大観察を用いた大腸腫瘍性病変の異型度・深達度診断能の検討.Gastroenterological Endosc 51 : 10-19, 2009
4)和田祥城,樫田博史,工藤進英,他.NBIによる大腸腫瘍におけるvascular pattern診断.早期大腸癌 12 : 359-366,2008
5)中山奈那,永田信二,日高徹,他.大腸腫瘍治療法選択のためのストラテジー─通常観察,pit pattern観察,NBI拡大観察を比較して.消化管の臨床 15 : 37-41, 2009
6)中山奈那,永田信二,金子真弓,他.NBI拡大観察が深達度診断に有用であった大腸SM癌の1例.胃と腸 44 : 1615-1621, 2009
7)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン,医師用2009年版.金原出版,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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