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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻11号

2010年10月発行

文献概要

今月の主題 大腸低分化腺癌の初期像とその進展 主題

大腸低分化腺癌の内視鏡的特徴

著者: 坂本琢1 松田尚久1 松本美野里1 中島健1 斎藤豊1 関根茂樹2 谷口浩和2 九嶋亮治2

所属機関: 1国立がん研究センター中央病院消化管内視鏡科 2国立がん研究センター中央病院病理科

ページ範囲:P.1750 - P.1756

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要旨 大腸の低分化腺癌は,本邦においては全大腸癌の4~7%程度と報告されており,比較的まれな組織型である.既存の報告では,ほとんどが進行癌症例による検討であり内視鏡的に早期癌と診断される症例は非常に少なく,低分化腺癌の発育進展については明らかにはされていない.2000年以降に当施設において,内視鏡的に早期癌と診断し,かつ病理組織学的に低分化腺癌と診断された症例は8例のみであった.これらの症例を見直すと,“右側結腸",“明瞭な陥凹面",“粘膜下腫瘍様の形態"が通常内視鏡検査における特徴と考えられた.また拡大内視鏡所見については,低分化腺癌としての組織構築を反映し,細かい不整形pitを疎らに認める程度で,多くは無構造に近い形態を呈していた.一方,NBI所見は,断片化の目立つ不整血管が比較的等間隔にみられることがその特徴として考えられた.

参考文献

1)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,7版補訂版.金原出版,2009
2)福島亘,小西孝司,佐原博之,他.大腸低分化腺癌症例の検討.日消外会誌 26 : 1013-1017, 1993
3)平井一郎,池田栄一,飯沢肇,他.大腸低分化腺癌,印環細胞癌の臨床病理学的検討.日消外会誌 28 : 805-812, 1995
4)Ogawa M, Watanabe M, Eto K, et al. Poorly differentiated adenocarcinoma of the colon and rectum : clinical characteristics. Hepatogastroenterology 55 : 907-911, 2008
5)工藤進英,高野征雄,丸山明則,他.横行結腸に発生したIIc型早期癌の1例.胃と腸 22 : 917-921, 1987
6)Soetikno RM, Kaltenbach T, Rouse RV, et al. Prevalence of nonpolypoid(flat and depressed)colorectal neoplasms in asymptomatic and symptomatic adults. JAMA 299 : 1027-1035, 2008
7)Yao K, Oishi T, Matsui T, et al. Novel magnified endoscopic findings of microvascular architecture in intramucosal gastric cancer. Gastrointest Endosc 56 : 279-284, 2002
8)Nakayoshi T, Tajiri H, Matsuda K, et al. Magnifying endoscopy combined with narrow band imaging system for early gastric cancer : correlation of vascular pattern with histopathology(including video). Endoscopy 36 : 1080-1084, 2004
9)友利彰寿,小山恒男,高橋亜紀子,他.拡大内視鏡による腫瘍の組織型診断.胃と腸 42 : 730-734, 2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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