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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻11号

2010年10月発行

文献概要

今月の主題 大腸低分化腺癌の初期像とその進展 主題症例

早期大腸低分化腺癌の1例

著者: 松本美野里1 斎藤豊1 坂本琢1 中島健1 松田尚久1 九嶋亮治2

所属機関: 1国立がん研究センター中央病院消化管内視鏡科 2国立がん研究センター中央病院病理科

ページ範囲:P.1763 - P.1768

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要旨 患者は50歳代,女性.食思不振,体重減少の精査目的で下部消化管内視鏡検査を施行し,横行結腸に15mm大のひだ集中を伴う丈の低い隆起性病変を認めた.病変は褪色調でわずかな陥凹面を有し,病変中央にはやや発赤の強い一段丈の高い隆起を伴っていた.NBI拡大観察では,通常みられるようなcapillary patternとは異なった,屈曲,蛇行の強い,縮れたような血管所見が認められた.また,pit観察では,不整型の小型pitが不規則に配列しているのが観察されたが,不整の程度は弱く,また,明らかな領域性は認めなかった.総合的に病変はSM1までにとどまるものと考え,EMRを試みた.しかしながら,non-lifting signが陽性であり,ESDに切り替えた.病理結果は,粘膜病変が完全に保たれている中~低分化腺癌で,粘膜筋板下に著明なリンパ管侵襲像と線維化を認めた.

参考文献

1)Ogawa M, Watanabe M, Eto K, et al. Poorly differentiated adenocarcinoma of the colon and rectum : clinical characteristics. Hepatogastroenterology 55 : 907-911, 2008
2)Takeuchi K, Kuwano H, Tuzuki Y, et al. Clinicopathological characteristics of poorly differentiated adenocarcinoma of the colon and rectum. Hepatogastroenterology 51 : 1698-1702, 2004
3)平井一郎,池田栄一,飯沢肇,他.大腸低分化腺癌,印環細胞癌の臨床病理学的検討.日消外会誌 28 : 805-812, 1995
4)Suzuki A, Nagasako K, Fujimori T, et al. Clinicopathologic evaluation of the trend toward histlogically poor differentiation with submucosal invasion in superficial early colorectal adenocarcinomas. J Gastroenterol 35 : 832-839, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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