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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻11号

2010年10月発行

文献概要

今月の主題 大腸低分化腺癌の初期像とその進展 主題関連症例

大腸低分化腺癌と鑑別を要した転移性大腸癌

著者: 清水誠治1 川浦由起子1 内藤達志1 南竜城1 三宅清花1 森本泰隆1 清水香代子1 光本保英1 森敬弘1 本庶元2

所属機関: 1大阪鉄道病院消化器内科 2大津赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.1816 - P.1822

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要旨 胃癌からの大腸転移で多発する表面型病変を形成し,組織学的に低分化腺癌,印環細胞癌が証明された2症例を呈示した.〔症例1〕は83歳,男性で大腸内視鏡で直腸からS状結腸にIIa+IIc病変が散在性にみられ,生検では粘膜固有層への低分化腺癌の浸潤がみられた.胃に3型進行癌がみられ,組織学的にも同様であることより大腸転移と判断した.〔症例2〕は68歳,女性で,進行胃癌術後7年9か月後に大腸全域に約40個の表面型病変(IIa,IIc)がみられた.一部の病変を内視鏡的に摘除したところ,印環細胞癌が主に粘膜固有層に限局して浸潤していた.胃癌と大腸病変での粘液形質を免疫染色で検討した結果,大腸病変は胃癌の転移と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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