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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻12号

2010年11月発行

文献概要

今月の主題 特殊型胃癌の病理像と臨床的特徴 主題症例

小細胞癌で少量のtubを含んだ0-IIc型に類似した進行胃癌

著者: 小坂俊仁1 芳野純治1 乾和郎1 若林貴夫1 小林隆1 三好広尚1 服部信幸1 友松雄一郎1 山本智支1 松浦弘尚1 成田賢生1 鳥井淑敬1 森智子1 池田美奈2 溝口良順2

所属機関: 1藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院内科 2藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院病理診断科

ページ範囲:P.1981 - P.1986

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要旨 患者は53歳,男性.1994年11月,検診の上部消化管X線造影検査にて異常を指摘され,当科を受診した.当科での上部消化管内視鏡検査では胃角部前壁に0-IIc型に類似した進行胃癌を認め,生検結果は中分化型管状腺癌であった.1995年1月,胃亜全摘術を実施した.腫瘍径は20×15mmであった.深達度はSSでリンパ節転移はなく,Stage IIであった.病理の結果chromogranin A陽性で,胃小細胞癌(内分泌細胞癌)と診断された.また隆起の辺縁に中分化型管状腺癌を合併していた.手術後UFTを投与され,経過は良好で術後50か月の生存を確認している.今回筆者らは自験例に文献的考察を加え報告した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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