胃と腸45巻12号

2010年11月発行

今月の主題 特殊型胃癌の病理像と臨床的特徴

主題症例

腺癌成分がEBV陽性リンパ球浸潤胃癌であった腺扁平上皮癌の1例

著者： 大屋久晴¹ 谷口浩和¹ 小山大河¹ 関根茂樹² 蔦幸治¹ 九嶋亮治¹ 片井均³

所属機関： ¹国立がん研究センター中央病院病理科 ²国立がん研究センター研究所病理部 ³国立がん研究センター中央病院胃外科

ページ範囲：P.1987 - P.1991

文献概要

要旨　50歳代，男性．1998年4月ごろからつかえ感を自覚．近医を受診し，上部消化管X線造影検査で胃角部の腫瘍を指摘されて当院に紹介され受診となった．上部消化管内視鏡検査では，胃角部の小彎中心にType 2病変を認めた．組織生検では低分化腺癌の結果であった．腹部CT造影検査では噴門部に10mm大のリンパ節腫大を認めたが，腹水・遠隔転移は認めなかった．1998年7月に胃全摘術，Roux-en Y再建を施行した．術後病理検査ではpT2N0P0CY0H0，pStage Ibの診断で，リンパ球浸潤癌と扁平上皮癌成分を認める腺扁平上皮癌であった．また，リンパ球浸潤癌の成分のみEBER-1が陽性であった．

参考文献

1）胃癌研究会（編）．胃癌取扱い規約，14 版，金原出版，2010

2）石川浩一，木本誠二．現代外科学大系，35B．中山書店，p 27，1971

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