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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻2号

2010年02月発行

文献概要

今月の主題 中・下咽頭表在癌の診断と治療 主題

中・下咽頭表在癌の病理

著者: 根本哲生1 立石陽子1 船田信顕1 加藤剛2 藤原純子3 門馬久美子3 河内洋4

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院病理科 2がん・感染症センター都立駒込病院食道外科 3がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 4東京医科歯科大学人体病理学

ページ範囲:P.190 - P.202

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要旨 中・下咽頭領域においても,癌進展が上皮下層までにとどまる表在癌の症例が蓄積されつつある.中・下咽頭表在癌の肉眼型は0-IIa型あるいは0-IIb型をとることが多く,陥凹型は少数である.0-I型あるいは進行癌に類似する明らかな厚みを持った病変は1,000μmを超える深い上皮下浸潤を示し,脈管侵襲を伴うものが多い.0-IIa病変には上皮下浸潤を伴うものが約20%にみられる.上皮下浸潤を示す0-IIa病変は,隆起の表面に陥凹を伴う0-IIa+IIcの形をとるものが多い.また0-IIa病変のなかには咽頭扁桃の陰窩や付属腺の導管を足場にして進展・浸潤するものがある.自験0-IIb例中には上皮下浸潤癌はみられなかった.中・下咽頭領域の病理診断においては,“浸潤”の定義,浸潤距離の評価方法など,今後コンセンサスを形成すべき問題が残されている.

参考文献

1)日本頭頸部癌学会(編).頭頸部癌取扱い規約,改訂4版.金原出版,2005
2)日本食道学会(編).食道癌取扱い規約,10版.金原出版,2007
3)Barnes L, Eveson JW, Reichart P. et al Edited World Health Organization Classification of Tumours Pathology and Genetics Head and Neck Tumours IARCPress, Lyon, 2005
4)大倉康男.食道癌取扱い規約に定義された上皮内腫瘍の病理組織学的検討─食道小扁平上皮癌と上皮内腫瘍.胃と腸 44 : 1735-1740, 2009
5)八尾隆史,中山秀苗,阿不都・d的依馬木,他.食道上皮内扁平上皮癌とintraepithleial neoplasiaの鑑別.胃と腸 44 : 1741-1748, 2009
6)日本産婦人科学会(編).子宮頸癌取扱い規約,改訂2版.金原出版,1997
7)落合淳志.中・下咽頭癌の病理─食道癌の病理と比較して.胃と腸 40 : 1221-1228, 2005
8)Egashira H, Yanagisawa A, Kato Y. Predictive factors for lymph node metastasis in esophageal squamous cell carcinomas contacting or penetrating the muscularis mucosae : the utility of droplet infiltration. Esophagus 3 : 47-52, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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