icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻2号

2010年02月発行

今月の主題 中・下咽頭表在癌の診断と治療

主題

中・下咽頭表在癌の拡大内視鏡診断

著者: 井上晴洋1 南ひとみ1 佐藤嘉高1 加賀まこと1 横山顕礼1 鈴木道隆1 里館均1 小鷹紀子1 伊藤寛晃1 工藤進英1

所属機関: 1昭和大学横浜市北部病院消化器センター

ページ範囲:P.217 - P.226

文献概要

要旨 上部消化管内視鏡でスクリーニングを行う際に,中・下咽頭の表在癌の存在を念頭に置けば,その拾い上げ診断はさほど困難ではない.ただし食道で有力なヨード撒布は中・下咽頭では一律には行えないので,NBI観察の際のbrownish areaの拾い上げが重要なポイントとなる.NBI観察でbrownish areaを拾い上げたら,その病巣をNBI拡大で観察するが,血管パターンの評価においては食道で適用しているIPCLパターン分類を咽頭にもそのまま適用することができる.組織学的に咽頭は食道と異なり,粘膜筋板が不明瞭化している.しかし,NBI拡大内視鏡でよく観察される食道の樹枝状血管網は,咽頭でも同様に観察することができる.その樹枝状血管からIPCLは垂直に立ち上がってくる.そのIPCLの変化は組織の構造異型に相関する.このように咽頭病巣には基本的に食道での診断学を当てはめることができる.

参考文献

1)吉野邦俊.中・下咽頭癌の疫学・臨床統計.胃と腸 40 : 1229-1238, 2005
2)永井鑑,川田研郎,西蔭徹郎,他.食道癌に重複する下咽頭表在癌の診断と治療.消内視鏡 15 : 423-429, 2003
3)大森泰,川浦光弘,横山顕.中・下咽頭表在癌の内視鏡診断と治療.日気管食道会報 53 : 167, 2002
4)Muto M, Nakane M, Katada C, et al. Squamous cell carcinoma in situ in oropharyngeal and hypopharyngeal mucosal sites. Cancer 101 : 1375-1381, 2004
5)Inoue H, Honda T, Yoshida T, et al. Ultra-high magnification endoscopy of the normal esophageal mucosa. Dig Endosc 8 : 134-138, 1996
6)Inoue H, Honda T, Nagai K, et al. Ultra-high magnification endoscopic observation of carcinoma in situ of the esophagus. Dig Endosc 9 : 16-18, 1997
7)井上晴洋,加賀まこと,菅谷聡,他.食道表在癌深達度診断の進歩─拡大内視鏡 vs ESU : 拡大内視鏡の立場から.胃と腸 41 : 197-205, 2006
8)落合淳志.中・下咽頭癌の病理─食道癌の病理と比較して.胃と腸 40 : 1221-1228, 2005
9)井上晴洋,佐藤嘉高,加澤玉惠,他.食道疾患に対する低侵襲治療─究極の低侵襲治療となる1mm食道癌の拾いあげ診断と治療まで.G.I. Res 12 : 179-189, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら