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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻2号

2010年02月発行

今月の主題 中・下咽頭表在癌の診断と治療

主題

中・下咽頭表在癌の内視鏡治療―EMRの立場から

著者: 土田知宏1 石山晃世志1 春日章良1 大前雅実1 岡田和久1 吉本和仁1 平澤俊明1 山本頼正1 藤崎順子1 高橋寛1 五十嵐正広1 山本智理子2 佐々木徹3 福島啓文3 三谷浩樹3 川端一嘉3

所属機関: 1癌研有明病院消化器内科 2癌研有明病院病理部 3癌研有明病院頭頸科

ページ範囲:P.244 - P.251

文献概要

要旨 食道表在癌に対する内視鏡治療が普及してきたなか,field cancerizationの概念から頭頸部の観察も必要であるという意識が高まってきたことによって,中・下咽頭に表在性の癌を指摘できるようになってきた.これまでは,中・下咽頭領域の早期癌に対する治療は部分切除もしくは放射線療法が主体であったが,近年,機能を温存し局所治療を目的とした内視鏡治療が新しい治療法として注目されてきている.しかし,内視鏡治療を行った場合,手技による合併症対策や,リンパ節転移の危険因子,追加治療の要否など,今後検討しなくてはならない課題も多い.現在多施設において中・下咽頭表在癌に対する内視鏡治療が行われつつあり,症例の積み重ねによってこれらの問題が解決され,内視鏡治療がこの領域の治療選択の1つとして確立されることが期待される.

参考文献

1)Slaughter DP, Southwick HW, Smejkal W. Field cancerization in oral stratified squamous epithelium : clinical implications of multicentric origin. Cancer 6 : 963-968, 1953
2)Muto M, Nakane M, Katada C, et al. Squamous cell carcinoma in situ at oropharyngeal and hypopharyngeal mucosal sites. Cancer 101 : 1375-1381, 2004
3)永井鑑,川田研郎,西蔭徹郎,他. 食道癌に重複する下咽頭表在癌の診断と内視鏡治療.消内視鏡 15 : 423-429, 2003
4)大森泰,横山顕,田川崇正,他.気管,下咽頭・食道領域の悪性腫瘍への治療最前線─中下咽頭表在癌に対する内視鏡的粘膜切除術.日気管食道会報 55 : 133, 2004
5)清水勇一,山本純司,加藤元嗣,他.下咽頭癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術.Gastrointest Endoc 47 : 2416-2421, 2005
6)門馬久美子,吉田操,川田研郎,他.中・下咽頭癌の通常内視鏡観察.胃と腸 40 : 1239-1254, 2005
7)武藤学,堅田親利,高橋真理,他.表在性の中・下咽頭癌の拡大内視鏡診断─NBIも含めて.胃と腸 40 : 1255-1269, 2005
8)日本頭頸部癌学会(編).頭頸部癌取扱い規約,4版,金原出版,2005
9)佐藤靖夫,大森泰,田川崇正,他.下咽頭表在癌の手術治療─内視鏡的喉頭手術(ELPS)の経験.日耳鼻会報 109 : 581-586, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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