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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻4号

2010年04月発行

文献概要

今月の主題 スキルス胃癌と鑑別を要する疾患 主題

スキルス胃癌の特徴と診断の基本―内視鏡の立場から

著者: 丸山保彦1 景岡正信1 永田健1 大畠昭彦1 野田裕児1 池谷賢太郎1 森雅史1 三輪一太1 佐藤慎祐2 甲田賢治3 渡辺文利4

所属機関: 1藤枝市立総合病院消化器科 2藤枝市立総合病院放射線科 3藤枝市立総合病院病理診断科 4浜松南病院消化器病・IBDセンター

ページ範囲:P.445 - P.455

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要旨 典型的なスキルス胃癌の内視鏡所見の特徴は,伸展不良,ひだの変化(巨大皺襞,ひだ肥厚,直線化,蛇行,横走ひだ),primary lesion(初期病変)の存在である.特にひだの所見は,巨大皺襞や伸展不良を来す他疾患との鑑別に重要であり,その特徴を知ることが重要である.当院のスキルス胃癌41例の検討ではひだ肥厚,蛇行所見の出現頻度は胃底腺領域型で81%,幽門腺領域型で44%であった.横走ひだは両者とも約10%の症例で認められ,area模様の拡大所見は前者のみ,16%に指摘できた.幽門腺領域に発生するスキルス胃癌はひだの変化を伴いにくく,幽門狭窄を来しやすい傾向があった.

参考文献

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4)丸山保彦,景岡正信,永田健,他.linitis plastica型胃癌,特にその初期病変の診断─内視鏡診断(EUSを含む)を中心に.胃と腸 43 : 811-818, 2008
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9)岩渕三哉,渡辺英伸.胃の“pre-linitis plastica”型癌とは.胃と腸 35 : 863-865, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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