icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻4号

2010年04月発行

文献概要

今月の主題 スキルス胃癌と鑑別を要する疾患 主題

スキルス胃癌と鑑別を要する腫瘍性疾患―転移性胃癌

著者: 北村匡1

所属機関: 1静岡赤十字病院消化器科

ページ範囲:P.489 - P.492

文献購入ページに移動
要旨 転移性胃癌はこれまでまとまった報告は少なく,その内視鏡的特徴も多岐にわたっている.その中でもスキルス胃癌と鑑別を要する4型進行胃癌類似型の頻度は非常に低く,乳癌からの転移によくみられる.ともに粘膜下層をびまん性に浸潤する進展形式をとるため,進行した状態では内視鏡・X線造影検査ともに鑑別が困難で,最終的には生検による組織学的診断が必要となることが多い.原発巣が存在する場合には比較的疑いやすいが,特に4型進行胃癌類似型を来す乳癌は,術後数年経過してから出現することも報告されており,注意が必要である.生検の際も粘膜下層の腫瘍組織を確実に生検するようにボーリング生検などの工夫が必要である.

参考文献

1)中英男,本告匡,岡慎一郎,他.剖検例における消化管転移性癌の臨床病理学的研究.北里医 19 : 254-257, 1989
2)佐野量造.胃疾患の臨床病理.医学書院,1974
3)日本病理学会(編).日本病理剖検輯報,41輯(平成10年度剖検輯報録).日本病理剖検輯報刊行会,1999
4)Oda I, Kondo H, Yamao T, et al. Metastatic tumors to the stomach : analysis of 54 patients diagnosed at endoscopy and 347 autopsy cases. Endoscopy 33 : 507-510, 2001
5)濱中久尚,小田一郎,後藤田卓志,他.転移性胃腫瘍の形態的特徴─内視鏡像を中心に.胃と腸 38 : 1785-1789, 2003
6)岩下生久子,牛尾恭輔,岩下明徳,他.消化管への転移性腫瘍の診断.胃と腸 39 : 647-662, 2004
7)田邊渉,青山育雄,仁尾美賀子,他.転移性胃腫瘍28例の検討.倉敷中病年報 71 : 19-24, 2009
8)斉藤大三,吉田茂昭,吉森正喜,他.転移性胃腫瘍の内視鏡的検討.Progress of Digestive Endscopy 20 : 138-142, 1982
9)山際裕史,洞山典久,斎木和生.胃腸管への転移をきたした肺癌─胃腸管への転移頻度─.綜合臨床 25 : 1396-1401, 1976
10)宮川国久,山本奈都子,飯沼元,他.転移性胃腫瘍の上部消化管造影所見の検討.臨放 47 : 1019-1024, 2002
11)吉森正喜,岡裕爾,吉田茂昭,他.転移性胃腫瘍の内視鏡像.Gastroentelogical Endoscopy 19 : 821-825, 1977
12)Cormier WJ, Gaffey TA, Welch JM, et al. Linitis plastica caused by metastatic lobular carcinoma of the breast. Mayo Clin Proc 55 : 747-753, 1980
13)川東靖子,渡辺亨,安藤正志,他.乳癌における胃転移症例の検討.乳癌の臨 13 : 754-755, 1998
14)大島秀紀,山口浩司,信岡隆幸,他.急速に増大する胃,腹腔内転移を認めた乳腺悪性葉状腫瘍の1例.北海道外科誌 53 : 57-62, 2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?