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今月の主題 スキルス胃癌と鑑別を要する疾患 主題
スキルス胃癌と鑑別を要する腫瘍性疾患―転移性胃癌
著者: 北村匡1
所属機関: 1静岡赤十字病院消化器科
ページ範囲:P.489 - P.492
文献購入ページに移動要旨 転移性胃癌はこれまでまとまった報告は少なく,その内視鏡的特徴も多岐にわたっている.その中でもスキルス胃癌と鑑別を要する4型進行胃癌類似型の頻度は非常に低く,乳癌からの転移によくみられる.ともに粘膜下層をびまん性に浸潤する進展形式をとるため,進行した状態では内視鏡・X線造影検査ともに鑑別が困難で,最終的には生検による組織学的診断が必要となることが多い.原発巣が存在する場合には比較的疑いやすいが,特に4型進行胃癌類似型を来す乳癌は,術後数年経過してから出現することも報告されており,注意が必要である.生検の際も粘膜下層の腫瘍組織を確実に生検するようにボーリング生検などの工夫が必要である.
参考文献
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