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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻4号

2010年04月発行

文献概要

今月の主題 スキルス胃癌と鑑別を要する疾患 主題

スキルス胃癌と鑑別を要する非腫瘍性疾患―急性胃炎

著者: 大谷響1 水口昌伸2 松下弘雄1 綱田誠司3 坂田祐之4 岩切龍一3 藤本一眞5

所属機関: 1健康保険人吉総合病院消化器科 2佐賀大学医学部附属病院放射線部 3佐賀大学医学部附属病院光学医療診療部 4佐賀大学医学部附属病院内科 5佐賀大学医学部内科学

ページ範囲:P.493 - P.497

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要旨 急性胃炎は,急激に発症する,各種の原因によって生じる胃粘膜の急性炎症である.その画像診断と組織学的診断の間に乖離が存在することが多く,注意が必要である.原因の多くは薬剤やアルコールなどであるが,H. pylori初感染やCMV感染などの関与も念頭に置く必要がある.画像的特徴として,著明な粘膜の発赤,浮腫が主所見である.時に出血斑や粘膜の皺襞の著明な腫大が認められる.スキルス胃癌との重要な鑑別点は,腫大した皺襞が軟らかく,空気量で変化することである.急性胃炎の治療は,原因または誘引の除去が基本となる.症状あるいは所見の強い症例に対しては,薬物療法が行われる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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