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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻4号

2010年04月発行

文献概要

今月の主題 スキルス胃癌と鑑別を要する疾患 主題

スキルス胃癌と鑑別を要する非腫瘍性疾患―胃梅毒

著者: 小林広幸1 堺勇二2 蔵原晃一2 渕上忠彦2

所属機関: 1福岡山王病院消化器内科 2松山赤十字病院胃腸センター

ページ範囲:P.498 - P.502

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要旨 胃梅毒は幽門前庭部に好発するが,画像上,幽門部のスキルス胃癌との鑑別が問題となることがある.スキルス胃癌との鑑別点としては,胃梅毒は,X線では狭窄は左右対称性の漏斗状を呈し,病変は幽門輪部にまで及び幽門輪の開大を伴いやすいこと,内視鏡では粘膜は易出血性でびらんや多発性の浅い不整形潰瘍を伴うが,壁の伸展不良は比較的軽度であることが挙げられる.さらに,梅毒性皮疹類似の特異的な胃粘膜疹が確認できれば鑑別は容易である.画像上,幽門前庭部のスキルス胃癌が疑われた場合には,鑑別診断として胃梅毒も念頭に置き,梅毒血清反応をチェックすべきである.

参考文献

1)小林広幸,渕上忠彦,福島範子,他.胃梅毒の2例─第2期梅毒性皮疹との形態学的類似性について.胃と腸 26 : 545-551, 1991
2)西田憲一,岡芳彦,村山寛,他.胃梅毒の1例と最近21年間の本邦報告例の分析.Gastroenterol Endosc 32 : 1386-1393, 1990
3)小林広幸,渕上忠彦.細菌性感染症─消化管梅毒.胃と腸 37 : 379-384, 2002
4)小野寺昭一,多田有希.性感染症の発生動向と最近のトピックス.公衆衛生 72 : 451-455, 2008
5)Berk JE, Haubrich WS, Kaiser MH, et al(eds). Bockus Gastroenterology, 4th ed, vo1 2. W.B. Saunders, pp1328-1337, 1985
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8)石川恵一郎,成子元彦,田中利茂,他.Borrmann 4型胃癌との鑑別が困難であった胃梅毒の1症例.外科診療 35 : 667-671, 1993
9)小林広幸,渕上忠彦,堺勇二,他.上部消化管の炎症性疾患におけるX線検査の有用性─腫瘍性疾患との鑑別を中心として.胃と腸 38 : 973-989, 2003
10)堺勇二,渕上忠彦,平川雅彦,他.梅毒の上部消化管病変─鑑別診断を中心に.胃と腸 29 : 1401-1410, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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