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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻4号

2010年04月発行

文献概要

今月の主題 スキルス胃癌と鑑別を要する疾患 主題

スキルス胃癌と鑑別を要する非腫瘍性疾患―胃蜂窩織炎

著者: 岩谷勇吾1 伊藤哲也1 米田傑1 赤松泰次2

所属機関: 1信州大学医学部消化器内科 2信州大学医学部附属病院内視鏡診療部

ページ範囲:P.503 - P.506

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要旨 胃蜂窩織炎は,粘膜下層を中心に胃壁全層にわたる炎症・浮腫を来す比較的まれな非特異的化膿性炎症性疾患である.成因別に原発性,続発性,特発性に分類され,起因菌としては連鎖球菌が最も多いとされている.急性腹症との鑑別目的に腹部CTが施行され,胃壁の肥厚から本症が疑われることが多い.腫大した皺襞や胃壁の伸展不良を認め,スキルス胃癌との鑑別が必要になることがあるが,通常は急激な臨床経過をとることから鑑別は比較的容易である.生検による膿汁流出,組織・胃液培養による細菌の証明,超音波内視鏡などが診断に有用である.まれではあるが慢性に経過する胃蜂窩織炎が存在し,スキルス胃癌と誤診されることがある.

参考文献

1)Konjetzny GE. Entgunclungen des Margens. In Henke F, Lubarsch O(eds). Handbuch der speziellen pathologischen Anatomie und Histologie, 4th ed. Springer, pp 768-1116, 1928
2)白井大悟,斎藤清二,芳尾幸松,他.上部消化管内視鏡検査後にtoxic shock-like syndrome(TSLS)をともなう胃蜂窩織炎を生じた1例.日消誌 100 : 992-996, 2003
3)Lee BS, Kim SM, Seong JK, et al. Phlegmonous gastritis after endoscopic mucosal resection. Endoscopy 37 : 490-493, 2005
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5)Kim GY, Ward J, Henessey B, et al. Phlegmonous gastritis : case report and review. Gastrointest Endosc 61 : 168-174, 2005
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7)加藤憲治,佐々木英人,井戸政佳,他.保存的治療にて軽快した胃蜂窩織炎の1例.日消誌 95 : 432-435, 1998
8)坂井みき,藤原淳,安田洋二,他.超音波内視鏡検査が診断,治療効果判定に有用であった急性胃蜂窩織炎の1例.日消誌 100 : 1375-1381, 2003
9)三上公治,酒井憲見,篠原徹雄,他.胃蜂窩織炎の3例.日消外会誌 33 : 1218, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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