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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻4号

2010年04月発行

文献概要

今月の主題 スキルス胃癌と鑑別を要する疾患 主題

スキルス胃癌と鑑別を要する非腫瘍性疾患―膵炎の胃への波及を認めた症例

著者: 矢田親一朗1 松本主之1 森山智彦1 飯田三雄1

所属機関: 1九州大学大学院病態機能内科学

ページ範囲:P.507 - P.510

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要旨 膵臓は胃の背側に接して存在するため,同部の炎症や腫瘍が胃の伸展不良を惹起することがある.なかでも,膵体部から尾部にいたる広範な膵炎は,胃に波及する範囲が広く,スキルス胃癌との鑑別が問題となる.鑑別にはX線所見が重要であり,膵炎では(1)胃の背側から波及するため胃後壁大彎側の軽度の伸展不良にとどまること,(2)管外性炎症であるため体位変換で伸展不良の程度が変化すること,(3)胃壁外の石灰化を伴う場合が多いこと,などに着目すべきと思われる.臨床像から膵炎の波及を疑い,腹部超音波やCTを積極的に活用すべきことは言うまでもない.

参考文献

1)矢田親一朗,松本主之,中村昌太郎,他.びまん浸潤型胃癌と鑑別を要する炎症性疾患.胃と腸 37 : 1701-1714, 2002
2)長川達哉,小林和夏,須賀俊博,他.急性膵仮性嚢胞に対する超音波内視鏡下穿刺ドレナージ術.胆と膵 27 : 899-905, 2006
3)佐藤晃彦,下瀬川徹.重症急性膵炎の画像.胆と膵 27 : 1-6, 2006
4)清水健,仲眞美貴,上間恵理子,他.胃穿通による消化管出血を認めた膵仮性嚢胞内出血の1例.日消誌 102 : 729-735, 2005
5)栗栖泰郎,本城総一郎,玉井伸幸,他.後腹膜線維症と自己免疫性膵炎の合併により治癒が遷延したと思われた胃潰瘍の1例.日臨外会誌 68 : 1795-1799, 2007
6)裏川公章,長畑洋司,高田孝好,他.膵炎症例における消化性潰瘍の合併.日消外会誌 18 : 2041-2048, 1985

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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