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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻4号

2010年04月発行

文献概要

今月の主題 スキルス胃癌と鑑別を要する疾患 主題

スキルス胃癌と鑑別を要する非腫瘍性疾患―アニサキスによると考えられた限局性皺襞腫大を呈した好酸球性胃炎の1例

著者: 柳下淳1 小野裕之1 角嶋直美1 滝沢耕平1 田中雅樹1 池原久朝1 松林宏行1 山口裕一郎1

所属機関: 1静岡県立静岡がんセンター内視鏡科

ページ範囲:P.511 - P.514

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要旨 60歳代,女性.上部消化管内視鏡検査にて胃角部前壁を主座とした著明なひだ腫大を認めた.超音波内視鏡の所見も合わせ炎症性変化が疑われたが,診断目的でESDによるjumbo biopsyを施行した.病理組織学的所見では粘膜下層に著明な好酸球の集簇による炎症所見を認め,経過も合わせアニサキス好酸球性胃炎と考えた.胃アニサキス症は時に限局性の病変として認められることがあり,中間型(vanishing tumor)と緩和型(好酸球性肉芽腫)に分けられる.鑑別のポイントとしては,まず,本疾患を疑ったうえで,臨床経過,内視鏡所見を把握することが重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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