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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻4号

2010年04月発行

文献概要

今月の主題 スキルス胃癌と鑑別を要する疾患 主題

スキルス胃癌と鑑別を要する非腫瘍性疾患―自己免疫性汎胃炎

著者: 高木英恵1 大森泰2 川久保博文2 玉井博修1 伊藤大輔1 杉浦仁3 河内洋4 滝澤登一郎5

所属機関: 1川崎市立川崎病院内科 2川崎市立川崎病院外科 3川崎市立川崎病院病理 4東京医科歯科大学大学院人体病理学 5東京医科歯科大学大学院分子病態検査学

ページ範囲:P.521 - P.527

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要旨 76歳,女性.重度の食欲低下,体重減少を主訴に来院した.内視鏡検査で胃全体にびまん性の萎縮とびらん性変化を認め,粘膜ひだは消失し壁は伸展不良であった.生検や診断的EMRを繰り返し行ったが,炎症性変化のみで悪性所見やそのほかの特異的所見を認めなかった.自己免疫機序の関与を考えステロイド剤の投与を試みたが,体重減少が続き経静脈栄養を要したため,初診より約1年後に胃全摘を行い軽快した.本例は2002年に藤沢らが提唱した自己免疫性汎胃炎と同一の疾患と考えられた.スキルス胃癌と鑑別すべき疾患にこのような特異な胃炎が存在することが広く認識され,症例集積から病態解明につながることが望まれる.

参考文献

1)藤沢亨,福島万奈,倉石章,他.広範な萎縮,びらん,出血所見を呈し,診断に苦慮した自己免疫性汎胃炎(autoimmune pangastritis)の1例.胃と腸 37 : 1734-1740,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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