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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻4号

2010年04月発行

文献概要

今月の主題 スキルス胃癌と鑑別を要する疾患 主題症例

生検陰性のスキルス胃癌の1例

著者: 北條誠1 浜田勉1 近藤健司1 猪狩功遺1 高嶋志在1 渡部智雄2 折笠英紀3

所属機関: 1東京都保健医療公社東部地域病院内科 2東京都保健医療公社東部地域病院外科 3東京都保健医療公社東部地域病院病理

ページ範囲:P.562 - P.566

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要旨 患者は38歳,男性.主訴は空腹時痛,体重減少.内視鏡検査で胃壁の伸展不良は軽度であるが,ひだの伸展不良と屈曲蛇行などの走行異常を認めた.原発巣とみられる陥凹性病変は認めず,びらんからの生検ではすべて陰性であった.X線検査でも同様の所見で収縮所見は軽度であったが,胃体部から穹窿部にかけてひだの密集と蛇行が観察された.CTでは胃体部全周に壁肥厚の所見を認めた.最終的にスキルス胃癌と診断し,胃全摘術を施行した.切除標本の病理検索ではひだの走行異常部分に一致し,広範に粘膜下層以深の浸潤を認めるスキルス胃癌(LP型)で,噴門前壁に8mmの原発巣を認めた.生検陰性であっても,ひだの走行異常などの画像所見に注目し,スキルス胃癌を診断することが重要と考えられた.

参考文献

1)古河洋,今村博司,岸本朋乃,他.スキルス胃癌.外科治療 96 : 440-445, 2007
2)菊池由宣,松井哲平,五十嵐良典,他.急速に進行し内視鏡下生検にて診断困難であったスキルス胃癌の1例.内科 104 : 593-596, 2009
3)松井敏幸.巨大ひだを呈する病変.内視鏡所見のよみ方と鑑別診断─上部消化管,2版.芳野純治,浜田勉,川口実(編).医学書院,pp 226-237, 2007
4)川口実,津田広文,関根紀世,他.巨大皺襞が目立ったBorrmann 4型胃癌の1例.胃と腸 15 : 1293-1296, 1980
5)間山素行,狩谷淳,林学,他.Borrmann 4型胃癌(スキルス)の経過観察例─粗大皺襞がスキルスを疑わせた例.胃と腸 15 : 1289-1292, 1980
6)竹田彬一,保田光代,中藤正樹,他.逆追跡症例からみた“pre-linitis plastica”型胃癌の形態的特徴.胃と腸 35 : 915-925, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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