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形態診断に役立つ組織化学・分子生物学
―悪性リンパ腫の診断―免疫組織化学染色(3):悪性リンパ腫の鑑別
著者: 大島孝一1
所属機関: 1久留米大学医学部病理学教室
ページ範囲:P.575 - P.579
文献購入ページに移動はじめに
今回は悪性リンパ腫の鑑別について解説する.
悪性リンパ腫の分類としては,形態に加えて臨床像,免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析が加味され,発生分化および分子生物学的観点から,リンパ腫を疾患単位として分類し,治療に有用な分類が行われている(Table 1)1).新WHO分類が,免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析の特徴に立脚した分類とはいえ,診断の第一歩は形態診断によることが多い.まずは,Hodgkinリンパ腫にみられる巨細胞の有無,次に結節性病変かびまん性病変かの判定,さらに細胞の大きさが形態診断においてはポイントとなる.非Hodgkinリンパ腫は発生分化により,前駆型と分化型に分かれる.さらに免疫組織化学染色法により,各々は,B細胞型,T細胞型〔分化型の場合はNK(natural killer)細胞を含む〕に分けられる.
分化型(抹消型)B細胞性のものは,形態に加え,臨床像,免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析が加味され,分子生物的観点から,疾患単位が列挙されている.Fig. 1で示すように,B細胞の分化マーカーはかなり解析されており,免疫組織化学染色を組み合わせることで,分化段階がわかると分類しやすくなる.例えば,汎B細胞マーカーのCD20陽性で,胚中心マーカーのCD10,bcl6陽性であると,濾胞中心由来が考えられ,Burkitリンパ腫,濾胞性リンパ腫,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫のどれかになる.一方,T細胞の分化マーカーはいまだ発展途上である(Fig. 2).分化型(抹消型)のT/NK細胞性リンパ腫は,形態的にも小細胞,大細胞,未分化大細胞と多岐であり,免疫表現型,遺伝子型においても疾患単位は,多岐であり,B細胞性リンパ腫とは異なり,むしろ疾患単位というより症候群にとどまっている.
今回は悪性リンパ腫の鑑別について解説する.
悪性リンパ腫の分類としては,形態に加えて臨床像,免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析が加味され,発生分化および分子生物学的観点から,リンパ腫を疾患単位として分類し,治療に有用な分類が行われている(Table 1)1).新WHO分類が,免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析の特徴に立脚した分類とはいえ,診断の第一歩は形態診断によることが多い.まずは,Hodgkinリンパ腫にみられる巨細胞の有無,次に結節性病変かびまん性病変かの判定,さらに細胞の大きさが形態診断においてはポイントとなる.非Hodgkinリンパ腫は発生分化により,前駆型と分化型に分かれる.さらに免疫組織化学染色法により,各々は,B細胞型,T細胞型〔分化型の場合はNK(natural killer)細胞を含む〕に分けられる.
分化型(抹消型)B細胞性のものは,形態に加え,臨床像,免疫組織化学染色,染色体検査,遺伝子解析が加味され,分子生物的観点から,疾患単位が列挙されている.Fig. 1で示すように,B細胞の分化マーカーはかなり解析されており,免疫組織化学染色を組み合わせることで,分化段階がわかると分類しやすくなる.例えば,汎B細胞マーカーのCD20陽性で,胚中心マーカーのCD10,bcl6陽性であると,濾胞中心由来が考えられ,Burkitリンパ腫,濾胞性リンパ腫,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫のどれかになる.一方,T細胞の分化マーカーはいまだ発展途上である(Fig. 2).分化型(抹消型)のT/NK細胞性リンパ腫は,形態的にも小細胞,大細胞,未分化大細胞と多岐であり,免疫表現型,遺伝子型においても疾患単位は,多岐であり,B細胞性リンパ腫とは異なり,むしろ疾患単位というより症候群にとどまっている.
参考文献
1)Swerdlow SH, Campo E, Harris NL, et al(eds). WHO classification of tumours of haematopoietic and lymphoid tissues 4th ed. WHO classifications of tumors, Vol 2. IARC Press, Lyon, 2008
2)Rowe M, Lear AL, Croom-Carter D, et al. Three pathways of Epstein-Barr virus gene activation from ENBA1 positive latency in B lymphocytes. J Virol 66 : 122-131, 1992
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