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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻5号

2010年04月発行

文献概要

特集 早期大腸癌2010 主題 4.早期大腸癌の病理

2)pSM癌の治療方針(大腸癌治療ガイドライン2005/2009)

著者: 味岡洋一1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野

ページ範囲:P.679 - P.688

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要旨 内視鏡的摘除pSM癌の治療方針決定には,摘除標本の病理診断が重要な役割を担っている.「大腸癌治療ガイドライン(2005年版)」では,内視鏡的治療で根治が期待されるSM浸潤量が1,000μm未満までに拡大された.同ガイドライン2009年版では新たな病理診断項目として,“粘液癌”と“簇出”が追加された.同ガイドライン2009年版では,以下の治療方針が推奨されている.「追加腸切除」 : 垂直切除断端陽性.「追加腸切除を考慮」 : 垂直切除断端陰性でも,(1)低分化腺癌・印環細胞癌・粘液癌,(2)SM浸潤度1,000μm以上,(3)脈管侵襲陽性,(4)簇出Grade 2,3のいずれかが認められた場合.「経過観察」(内視鏡的治療で根治が期待される): 垂直切除断端陰性で,(1)乳頭腺癌・管状腺癌,(2)SM浸潤度1,000μm未満,(3)脈管侵襲陰性,(4)簇出Grade 1,の4項目すべてが満たされた場合.

 各病理診断項目の評価法と問題点および今後の課題について述べた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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