文献詳細
特集 早期大腸癌2010
主題 5.早期大腸癌のスクリーニング
文献概要
要旨 早期大腸癌のスクリーニング検査としての注腸X線検査法について概説した.近年,注腸X線検査は新たなデジタル撮影装置の進歩や前処置法・造影剤の改良などにより,X線画質や表面型腫瘍の示現能が向上してきている.また,腸管のスパスム予防や被検者の苦痛緩和のため,前処置や前投薬に様々な工夫もなされてきている.早期大腸癌の注腸X線での見逃し原因の多くは,前処置不良や腸管のスパスム,不十分な読影によるものであり,大半は見直しにて指摘可能である.これらの点を念頭に置いて,質の高いX線画像の撮影を行い,注意深い読影を心がければ,注腸X線検査は早期大腸癌のスクリーニング検査としての役割を十分に果たしうると考える.
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