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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻5号

2010年04月発行

文献概要

特集 早期大腸癌2010 主題 6.早期大腸癌の精密画像診断

3)超音波内視鏡による深達度診断

著者: 小林清典1 木田光広1 迎美幸1 福島瞳1 横山薫1 佐田美和1 小泉和三郎1

所属機関: 1北里大学東病院消化器内科

ページ範囲:P.811 - P.821

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要旨 早期大腸癌の精密画像診断法の中で,超音波内視鏡(EUS)は腫瘍を垂直断層像として描出でき,深達度を客観的に評価できる.早期大腸癌の中でpM癌やpSM-slight癌は,内視鏡的摘除の適応である.しかしpSM-massive癌は,リンパ節郭清を伴う外科手術が必要である.自験579病変でのEUSによる鑑別診断正診率は,90%と良好であった.特に通常内視鏡で深達度診断に迷う場合は,EUSを併用することが有用であると考える.しかし腫瘍の存在部位などによっては,EUSにより描出困難な場合がある.そこで3次元EUSが実用化され,診断精度の向上のみならず,描出困難病変の克服にも役立っている.早期大腸癌に対するEUS診断は解決すべき問題点も多いが,客観的な深達度診断法として重要な役割を担っている.

参考文献

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2)小林清典,勝又伴栄,五十嵐正広,他.大腸sm癌─新しいsm浸潤度分類の提唱と臨床的有用性.日本大腸肛門病会誌 54 : 24-35, 2001
3)小林清典,木田光広,勝又伴栄.超音波内視鏡は病理診断にどこまで迫れるか─超音波内視鏡による大腸早期癌診断と粘膜筋板の描出能.Gastroenterol Endosc 42 : 547, 2000
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8)清水誠治,伊藤繭,稲垣智子,他.EUSによる早期大腸癌の深達度診断の有用性と限界.胃と腸 36 : 752-758, 2001
9)浜本順博,平田一郎,安本真悟,他.早期大腸癌における浸潤度の臨床診断精度─超音波内視鏡を中心に.胃と腸 39 : 1375-1386, 2004
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11)小林清典,迎美幸,竹内瞳,他.大腸癌の質的・量的診断─三次元超音波内視鏡(3D-EUS)の有用性と課題.INTESTINE 13 : 181-187, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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