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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻5号

2010年04月発行

特集 早期大腸癌2010

主題 6.早期大腸癌の精密画像診断

4)拡大内視鏡観察(pit pattern)

著者: 山野泰穂1 吉川健二郎1 木村友昭1 加藤隆介1 原田拓1 石郷岡晋也1 澤谷学1 高木亮1 佐藤健太郎1

所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター

ページ範囲:P.822 - P.828

文献概要

要旨 1993年の大腸拡大内視鏡の登場により新たに“拡大内視鏡診断”が開かれたが,その礎は固定標本に対する実体顕微鏡観察と病理との対比した過去20年の研究にあった.現在では拡大内視鏡で病理組織像を反映した病変の表面微細構造,腺管開口部(pit pattern)の形態を認識でき,腫瘍・非腫瘍の鑑別,癌と腺腫の鑑別,深達度診断がある程度可能であり,バーチャルバイオプシーの領域に達し,臨床上,大変有益である.その一方で問題点として,VI型の亜分類に対する判断基準の個人差,病理医の判断上の問題も加味されるが拡大所見に対する癌の分化度・異型度の影響,pit pattern分類の活用上の問題などが挙げられる.これらを十分理解したうえで日常臨床に拡大内視鏡診断が用いられることを期待する.

参考文献

1)小坂知一郎.大腸微小隆起性病変に関する臨床病理学的研究.大腸肛門誌 28 : 218-228, 1975
2)多田正大,川井啓市,赤坂裕三.大腸隆起性病変の拡大観察とその病態.胃と腸 13 : 625-636, 1978
3)西沢護,佐藤文生,江藤和美.実体顕微鏡および臨床からみた早期大腸癌の発生・発育・進展.胃と腸 20 : 831-841, 1985
4)工藤進英,三浦宏二,高野征雄,他.微小大腸癌の診断実体顕微鏡所見を含めて.胃と腸 25 : 801-812, 1990
5)工藤進英,日下尚志,中島孝司,他.陥凹型早期大腸癌の微細表面構造─拡大電子スコープ,実体顕微鏡の腺口形態の解析より.胃と腸 27 : 963-975, 1992
6)工藤進英.早期大腸癌─平坦・陥凹型へのアプローチ.医学書院,1993
7)Kudo S, Hirota S, Nakajima T, et al. Colorectal tumours and pit pattern. J Clin Pathol 47 : 880-885, 1994
8)拡大内視鏡による深達度診断─V型pit patternを中心に.早期大腸癌 vol 5,2001
9)工藤進英,大森靖弘,樫田博史,他.大腸の新しいpit pattern分類─箱根合意に基づいたVI,VN型pit pattern.早期大腸癌 9 : 135-140, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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