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今月の主題 側方発育型大腸腫瘍(laterally spreading tumor ; LST)─分類と意義 序説
側方発育型大腸腫瘍(LST)の呼称の経緯と意義
著者: 山野泰穂1
所属機関: 1秋田赤十字病院消化器病センター
ページ範囲:P.937 - P.938
文献購入ページに移動 本誌「胃と腸」において“側方発育型大腸腫瘍(laterally spreading tumor ; LST)”を冠した特集を組めることは,LSTの初期の時代から携わってきた者として感慨深いものがある.
LSTは恩師・工藤進英先生が提唱した概念であるが1),歴史的には側方に拡がったと考えられる病変は以前にも存在していた.1979年に佐竹ら2)が「花壇様隆起を示した大腸腺管腺腫の1例」として本誌に報告したことを皮切りに,顆粒集簇,結節集簇,creeping tumor,carpet lesionなどと表現された病変の報告3)~6)を経て,1992年に“いわゆる結節集簇様病変”として本誌でまとめられた7).
LSTは恩師・工藤進英先生が提唱した概念であるが1),歴史的には側方に拡がったと考えられる病変は以前にも存在していた.1979年に佐竹ら2)が「花壇様隆起を示した大腸腺管腺腫の1例」として本誌に報告したことを皮切りに,顆粒集簇,結節集簇,creeping tumor,carpet lesionなどと表現された病変の報告3)~6)を経て,1992年に“いわゆる結節集簇様病変”として本誌でまとめられた7).
参考文献
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