icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻7号

2010年06月発行

文献概要

今月の主題 低異型度分化型胃癌の診断 主題

低異型度管状腺癌の生検診断

著者: 大倉康男1 中村恭一2

所属機関: 1杏林大学医学部病理学教室 2横浜市立みなと赤十字病院病理部

ページ範囲:P.1172 - P.1181

文献購入ページに移動
要旨 低異型度管状腺癌の生検診断について症例を用いて概説した.低異型度管状腺癌の生検検体をみると,再生性異型との判別が難しいものと,正常組織に類似しているために悪性の判定が難しいものとに大きく分けられた.後者には,固有腺に類似した癌と腸上皮化生腺管に類似した癌がある.低異型度管状腺癌の生検診断では,核異型度は低めであるが,類円形核がわずかな大小不同,軽度の配列の乱れを示す所見に注意すべきである.また,細胞異型度が低めであっても,構造異型所見で確定診断をつける癌が存在することを知っておくべきである.そのためには低異型度管状腺癌の診断の経験を積み上げることが重要である.また,臨床医と病理医で意見交換をもつことが大切である.異型の情報量が少ない場合には,無理な判定をせず,再生検を指示すべきである.胃生検組織診断分類(Group分類)が大幅に改訂されたが,その対応についても概説した.

参考文献

1)大倉康男,中村恭一,西沢護.胃型分化型腺癌の生検組織診断とその問題点─とくに経過をみた症例を中心に.病理と臨 13 : 18-26, 1995
2)日本胃癌学会(編).胃癌取扱い規約,14版.金原出版,2010
3)大倉康男(分担執筆).第3部 鑑別ポイントII.生検1.診断の難しい生検検体の判定方法.深山正久,大倉康男(編).腫瘍病理鑑別診断アトラス 胃癌.文光堂,pp 236-247,2009
4)石黒信吾,辻直子,寺尾寿幸,他.胃型分化型腺癌の組織学的特徴.病理と臨 13 : 10-17, 1995
5)久保起与子,柳澤昭夫,二宮康郎,他.H・E染色による胃型分化型腺癌の病理学的特徴.胃と腸 34 : 487-494, 1999
6)吉野孝之,下田忠和,斎藤敦,他.早期胃癌における胃型分化型腺癌の肉眼的特徴とその臨床治療.胃と腸 34 : 513-525, 1999
7)長浜隆司,八巻悟郎,大倉康男,他.組織異型が弱く2年7か月経過観察を行った胃型分化型sm胃癌の1例.胃と腸 38 : 723-732, 2003
8)大腸癌研究会(編).大腸癌取扱い規約,7版補訂版.金原出版,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?