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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻7号

2010年06月発行

文献概要

今月の主題 低異型度分化型胃癌の診断 主題研究

“横這型胃癌"の臨床病理学的特徴

著者: 河内洋1 岡本直子1 吉田達也2 伊藤崇1 伊藤栄作1 小嶋一幸34 河野辰幸3 杉原健一4 滝澤登一郎5 江石義信1

所属機関: 1東京医科歯科大学人体病理学分野 2九段坂病院外科 3東京医科歯科大学医学部附属病院食道胃外科 4東京医科歯科大学腫瘍外科学分野 5東京医科歯科大学分子病態検査学分野

ページ範囲:P.1203 - P.1211

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要旨 “横這型胃癌"の臨床病理学的特徴を整理した.pT1a(M)およびpT1b1(SM1)胃癌575病変中10病変(1.7%)存在した.肉眼型は0-IIcが主体で,辺縁にしばしばIIb成分を伴い病変境界が不明瞭なものもあった.組織学的には,(1)細胞異型は軽微,(2)不規則分岐・融合腺管(いわゆる手つなぎ型腺管)や淡好酸性細胞からなる嚢状拡張腺管が主体,(3)しばしば印環細胞が出現,(4)腺管密度は低い,(5)腺頸部中心に進展するが,表層上皮との連続性があり腫瘍境界の判断が難しい,といった特徴がある.内視鏡的には病変の認識,範囲の同定が困難な場合が,組織学的には生検時に癌の確定診断が得られない場合があり,本病変の認識は重要と考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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