icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻7号

2010年06月発行

文献概要

今月の主題 低異型度分化型胃癌の診断 主題症例

術前診断が困難であった低異型度分化型進行胃癌の1例

著者: 堅田真司1 松本啓志1 秋山隆2 垂水研一1 藤田穣1 鎌田智有1 塩谷昭子1 今村裕志3 畠二郎3 窪田寿子4 平井敏弘4 春間賢1

所属機関: 1川崎医科大学内科学食道・胃腸科 2川崎医科大学病理学1 3川崎医科大学検査診断学内視鏡・超音波 4川崎医科大学消化器外科

ページ範囲:P.1227 - P.1233

文献購入ページに移動
要旨 患者は51歳,男性.主訴は下血.出血源の精査目的で上下部消化管内視鏡検査を施行した.下部消化管内視鏡検査では上行結腸に憩室を認め,憩室出血と診断した.また同時に行った上部消化管内視鏡検査で,胃体中部大彎やや前壁寄りに0-IIa+IIc病変を認めた.陥凹面は発赤調の顆粒状粘膜を呈し,陥凹部周囲は粘膜下腫瘤様に隆起していた.悪性腫瘍を疑ったが,生検組織の病理組織学的所見はGroup IIIで悪性とは判定できなかった.そこで,1週間後に再検査を行ったところ,NBIによる拡大内視鏡検査で陥凹部の微小血管構造と表面微細構造に軽度の乱れがあり,深達度がSMの高分化腺癌を疑った.2回目の生検でGroup IVと診断されたため,病変に対して幽門側胃亜全摘術を施行した.切除標本による病理学的所見では,表面に露出している病変よりもSM層に広く浸潤する形態の低異型度腺癌であった.

参考文献

1)八尾隆史,椛島章,上月俊夫,他.胃型分化型腺癌─新しい抗体を用いた免疫染色による癌の形質判定.胃と腸 34 : 477-485, 1999
2)石橋英樹,小林広幸,堺勇二,他.粘膜下腫瘍様の形態を呈した胃超高分化型腺癌の1例.胃と腸 44 : 1466-1476, 2009
3)八尾建史.胃拡大内視鏡.日本メディカルセンター,2009
4)佐藤龍,太田智之,村上雅則,他.粘膜下腫瘍様の形態を示した胃体部超高分化型腺癌の1例.胃と腸 39 : 833-840, 2004
5)小林正明,本間照,岩渕三哉,他.粘膜下層を主座に発育し生検診断が困難であった胃低異型度進行癌の1例.胃と腸 34 : 1531-1535, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?