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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻8号

2010年07月発行

今月の主題 直腸肛門部病変の鑑別診断─最新の知見を含めて

主題

直腸肛門部の炎症性疾患―感染性腸炎の直腸肛門部病変

著者: 大川清孝1 上田渉1 佐野弘治1 末包剛久1 青木哲哉2 追矢秀人3

所属機関: 1大阪市立総合医療センター消化器内科 2大阪市立住吉市民病院内科 3追矢クリニック

ページ範囲:P.1321 - P.1330

文献概要

要旨 感染性腸炎には直腸を好発部位とする疾患がみられ,性行為感染症(STD)の側面が強い疾患も多い.アメーバ性大腸炎は約9割に直腸病変を認め,出血あるいは周囲に紅暈を有するびらん・小潰瘍が内視鏡的特徴である.クラミジア直腸炎は下部直腸に限局したリンパ濾胞増殖症の像を示し,潰瘍性大腸炎や原因不明のリンパ濾胞増殖症との鑑別が必要である.サイトメガロウイルス腸炎も約半数に直腸病変があり,HIVの合併が多い.急性出血性直腸潰瘍,潰瘍性大腸炎,アメーバ性大腸炎などとの鑑別が必要である.細菌性腸炎の中で直腸に病変を来すカンピロバクター腸炎,腸管出血性大腸菌腸炎についても述べた.尖圭コンジローマは肛門周囲皮膚や肛門管に発生するが,直腸病変を来すこともあり,覚えておくべき疾患である.アメーバ性大腸炎,クラミジア直腸炎,尖圭コンジローマの多くはSTDである.これらの疾患の診断,鑑別診断について主に考察した.

参考文献

1)大磯龍太,大川清孝,山崎智朗,他.HIV感染者にみられた肛門周囲膿瘍合併アメーバ性大腸炎の1例.消化器科 34 : 271-277, 2002
2)大川清孝,青木哲哉,上田渉,他.消化器内科における経験から─アメーバ性大腸炎とクラミジア直腸炎について.日本大腸肛門病会誌 59 : 841-845, 2006
3)大川清孝,上田渉,佐野弘治,他.慢性感染性腸炎の内視鏡診断.Gastroenterol Endosc 52 : 221-230, 2010
4)滋野俊,赤松泰次,藤森一也,他.腸管出血性大腸菌感染症.胃と腸 43 : 1613-1620, 2008
5)黒川彰夫,木附公介,黒川幸夫.性行為感染症(STD)を含む感染性直腸肛門部病変.胃と腸 38 : 1275-1281, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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