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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻9号

2010年08月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌の深達度診断 主題

食道表在癌の深達度診断―肉眼病理の立場から

著者: 二村聡1 田邉寛2 岩下明葒2 池田圭祐2 太田敦子2 高木靖寛3 長浜孝3 平井郁仁3 松井敏幸3 江口浩一4 青柳邦彦4 槇研二5 城下豊生5 白石武史5

所属機関: 1福岡大学医学部病理学講座 2福岡大学筑紫病院病理部 3福岡大学筑紫病院消化器科 4福岡大学医学部消化器内科学講座 5福岡大学医学部消化器外科学講座

ページ範囲:P.1439 - P.1450

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要旨 食道表在癌183例201病変(粘膜内癌159病変,粘膜下層浸潤癌42病変)のホルマリン固定検体を用いて,その肉眼的特徴を検討した.その結果,高い確率で癌が粘膜下層に大量に浸潤していると推定される肉眼所見は,以下の2点に要約された.1つは,“立ち上がりがなだらかなドーム状の隆起"で,組織学的には,大量の癌組織が直上の上皮層を押し上げて隆起を形成したものである.もう1つは,“明瞭なびらん・潰瘍を伴う陥凹"で,組織学的には,大量の癌組織が,粘膜深部や粘膜下層に浸潤することにより,直上の粘膜組織(多くは粘膜内癌巣)が自壊・脱落し,同部に癌性びらん・潰瘍を伴ったと推定されたものである.以上の特徴の指摘とともに肉眼観察による食道表在癌の深達度診断の有用性と陥穽について付言した.

参考文献

1)日本食道学会(編).臨床・病理─食道癌取扱い規約,10版補訂版.金原出版,2008
2)山田達哉,福富久之.胃隆起性病変.胃と腸 1: 145-150, 1966
3)日本食道学会(編).臨床・病理─食道癌取扱い規約,9版.金原出版, 1999
4)渡辺英伸,多田哲也,岩渕三哉,他.病理からみた早期食道癌の定義と肉眼診断.胃と腸 25: 1075-1086, 1990
5)海上雅光,八巻悟郎,鶴丸昌彦.肉眼像からみた食道表在癌の深達度の読み方.胃と腸 27: 139-155, 1992
6)海上雅光,鶴丸昌彦,八巻悟郎,他.早期食道癌─病理診断 : 肉眼診断.胃と腸 30(増刊): 397-406, 1995
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10)大森泰,神津照雄,下田忠和,他.食道表在癌─深達度のピットフォール.胃と腸 39: 927-953, 2004
11)鬼島宏,加藤優子,島村和男,他.食道表在癌の深達度診断を誤った要因─病理の立場からの検討.胃と腸 39: 915-926, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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