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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻9号

2010年08月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌の深達度診断 主題

食道表在癌のX線学的深達度診断―X線造影像にみられる側面変形による深達度亜分類診断の試み

著者: 小田丈二1 入口陽介1 水谷勝1 高柳聡1 冨野泰弘1 小山真一郎1 岸大輔1 藤田直哉1 大村秀俊1 板橋浩一1 細井亜希子1 北條裕美子1 山田耕三1 山村彰彦2 細井董三1 川田研郎3 西蔭徹郎3 河野辰幸3

所属機関: 1東京都がん検診センター消化器内科 2東京都がん検診センター検査科 3東京医科歯科大学医学部附属病院食道・胃外科

ページ範囲:P.1451 - P.1466

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要旨 食道表在癌134例を対象に,X線像側面変形による深達度診断の有用性について検討を行った.これまでの検討では,M3・SM1の鑑別診断にまだ問題を残しており,これをより精度の高いものにするために,今回は新たに病変および変形の大きさ(長さ)の要素を加えて,B2型,C型変形を呈した35症例に対して検討した.その結果,B2型変形は病変の大きさが30mm未満であればM3~SM1と言える.ただし30mm以上ではM2~SM2まで幅広く分布しており,鑑別は難しくなる.一方C型変形は,病変の大きさが20mm未満であればSM1かSM2で,10mm未満ならばSM2であった.また病変の大きさに関係なくC型変形の長さに着目してみると,変形の長さが20mm未満ならM3~SM2であるが,10mm未満ならSM1かSM2という結果であった.以上のように側面変形だけでもかなり精度の高い深達度診断が可能になったと考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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