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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻9号

2010年08月発行

今月の主題 食道表在癌の深達度診断

主題

食道表在癌の深達度診断―通常内視鏡の立場から

著者: 藤原純子1 門馬久美子1 藤原崇2 江頭秀人2 江川直人2 了徳寺大郎3 三浦昭順3 加藤剛3 出江洋介3 立石陽子4 比島恒和4 吉田操5

所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院内視鏡科 2がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科 3がん・感染症センター都立駒込病院食道外科 4がん・感染症センター都立駒込病院病理科 5早期胃癌検診協会中央診療所

ページ範囲:P.1483 - P.1495

文献概要

要旨 2006~2009年までに内視鏡治療を行った食道表在癌247例296病変を対象に深達度診断の診断精度について検討した.正診率はT1a-EP・LPM癌では95%,T1a-MM・SM1癌は66%,SM2・SM3癌は61%であり,全体で90%(296病変中265病変)であった.病型は,T1a-EP・LPM癌はIIc 61%,IIb 31%,T1a-MM・SM1癌はIIc 89%,SM2以深癌はIIc 67%,0-I 28%であり,IIcが全体の65%を占めていた.食道表在癌の深達度診断においてIIcが最も重要な病型であった.0-IIc(EP・LPM)癌の正診率は97%と良好であった.0-IIc(MM・SM1)癌の正診率は68%で,浅読み例の71%が微小浸潤例であった.また,0-IIc(SM2以深)癌の正診率は50%で,誤診例の半数が微小浸潤例であり,SM1との鑑別が困難であった.現在の深達度診断は,通常観察で予測をし,拡大観察で確診を得るという過程で行われていた.通常観察の診断の限界は浸潤幅1.8mm程度の微小浸潤であり,それらは拡大観察を行っても血管変化がみられない病変では診断が困難であった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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