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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻9号

2010年08月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌の深達度診断 主題

食道表在癌の深達度診断―FICE拡大内視鏡の立場から

著者: 有馬美和子1 有馬秀明2 多田正弘1

所属機関: 1埼玉県立がんセンター消化器内科 2有馬外科胃腸科

ページ範囲:P.1515 - P.1525

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要旨 FICEを併用した拡大内視鏡微による,食道表在癌の深達度診断の成績と問題点について,表在食道癌510病巣を対象として検討した.微細血管分類のtype 3を示す病巣の97.3%はhigh grade intraepithelial neoplasiaおよびpT1a-EP/LPM癌であったが,type 4を示す病巣にはpT1a-LPM癌~pT1b-SM癌まで含まれていた.type 3とtype 4SをpT1a-EP/LPM癌,type 4Mとard3をpT1a-MM/pT1b-SM1癌,type 4Lとard4をpT1b-SM2/SM3癌の診断規準とすると,pT1a-EP/LPM癌の診断率は96.0%,pT1a-MM/pT1b-SM1癌は81%,pT1b-SM2/SM3癌は97%,全体の正診率は490病巣中465病巣(94.9%)であった.AVAを形成しないtype 4Rは,20病巣中18病巣(90%)が低分化型扁平上皮癌や特殊な組織型,INFcの浸潤様式を示す病変に認められた.拡大観察による誤診の原因は,微小浸潤と表層が浅い癌で覆われながら,その深部に浸潤巣が認められる病変であった.

参考文献

1)有馬秀明.食道粘膜の拡大観察による検討.Gastroenterol Endosc 40 : 1125-1137, 1998
2)有馬美和子,有馬秀明,多田正弘.表在食道癌の微細血管像による深達度診断.消内視鏡 17 : 2076-2083,2005
3)有馬美和子,有馬秀明,多田正弘.拡大内視鏡による分類─食道 : 微細血管分類.胃と腸 42 : 589-595, 2007
4)三宅洋一(編).分光画像処理入門.東京大学出版会,pp 21-35,2006
5)有馬美和子,有馬秀明,多田正弘.食道小扁平上皮癌の拾い上げと鑑別診断におけるFICE併用拡大内視鏡の有用性.胃と腸 44 : 1675-1687, 2009
6)有馬美和子 : 拡大内視鏡は食道癌の内視鏡診断をどう変えたか.Mod Physician 24 : 35-39, 2004
7)Arima M, Tada M, Arima H. Evaluation of microvascular patterns of superficial esophageal cancers by magnifying endoscopy. Esophagus 4 : 191-197, 2005
8)有馬美和子,有馬秀明,多田正弘.食道表在癌深達度診断の進歩─拡大内視鏡 vs EUS : EUSの意義.胃と腸 41 : 183-196, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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