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文献詳細

雑誌文献

胃と腸45巻9号

2010年08月発行

文献概要

今月の主題 食道表在癌の深達度診断 主題

食道表在癌の深達度診断―超音波内視鏡の立場から

著者: 川田研郎1 河野辰幸1 永井鑑1 西蔭徹郎1 中島康晃1 鈴木友宜1 星野明弘1 宮脇豊1 岡田卓也1 サワーンスィ チラワット1 太田俊介1 河内洋2

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部附属病院食道・胃外科 2東京医科歯科大学医学部附属病院病理科

ページ範囲:P.1527 - P.1534

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要旨 食道表在癌の治療は多様化し,患者背景や希望をより重視して治療法を選択するようになってきた.そのため,治療方針決定のうえからT1a-LPM,T1a-MM,SM1,SM2などの見極めが特に重要となっている.細径プローブを用いた超音波内視鏡は,腫瘍の壁内進展状況を詳細な断層画像として表すことができる唯一の実用段階の検査法である.通常内視鏡による表面形態や色調,拡大内視鏡による微細血管の変化などの所見と照らし合わせ,総合的に診断するが,良好な超音波像を得,それから固有筋層,粘膜下層を同定すれば,深達度診断は比較的容易である.しかし,超音波像にはリンパ組織の増生や拡張した固有食道腺など腫瘍以外の様々な変化が表現されるため,それらを常に考慮することも重要である.

参考文献

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3)河野辰幸,大島昌宏,遠藤光夫.早期食道癌─内視鏡的超音波診断.胃と腸 30 : 365-374, 1995
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10)有馬美和子,多田正弘.高周波数細径超音波プローブによる食道表在癌の深達度を誤認させる要因と画像の特徴.胃と腸 39 : 901-913, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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