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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻10号

2011年09月発行

文献概要

今月の主題 大腸SM癌に対する内視鏡治療の適応拡大 主題

大腸pSM癌に対する内視鏡治療根治基準の拡大―根治基準拡大に向けて解決すべき病理学的問題点─SM浸潤距離

著者: 味岡洋一1 河内洋2 田中信治3

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野 2東京医科歯科大学大学院人体病理学分野 3広島大学内視鏡診療科

ページ範囲:P.1453 - P.1458

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要旨 「大腸癌治療ガイドライン2009年版」による内視鏡的摘除pSM癌の治療方針では,“追加腸切除考慮群”のリンパ節転移リスクが十分に絞り込まれておらず,その層別化が必要である.SM浸潤距離因子(1,000μm以上)のみが陽性で“追加腸切除考慮群”とされる病変のリンパ節転移率は5.8%であり,それらの中には内視鏡的摘除で根治が期待される病変が含まれている可能性がある.SM浸潤距離に関してどの程度の値まで根治基準の拡大が可能か,が今後の課題である.そのためには,SM浸潤距離測定の診断者による均霑化と,有茎性SM癌のSM浸潤距離測定法についての再検討が必要と考えられる.

参考文献

1)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン医師用2009年版.金原出版,2009
2)岡部聡.大腸sm癌の転移のリスクファクターに関する検討.日本大腸肛門病会誌 47 : 564-575, 1994
3)小林正明,渡辺英伸,前尾征吾,他.大腸sm癌の新しいsm浸潤度分類からみた組織異型度・発育進展部簇出と脈管侵襲・リンパ節転移との相関.胃と腸 29 : 1151-1160, 1994
4)長廻紘,藤盛孝博,石黒信吾,他.大腸sm癌の取り扱い─大腸癌研究会sm癌プロジェクトアンケート : 病理報告を中心に.胃と腸 37 : 1636-1638, 2002
5)大腸癌研究会(編).大腸癌治療ガイドライン医師用2005年版.金原出版,2005
6)河内洋.内視鏡的に完全切除された大腸SM癌に対する病理診断の問題点.追加治療の指標としての,簇出及び他病理組織学的所見の意義.第71回大腸癌研究会プログラム・抄録集pp 33,2009および大腸癌研究会HPプロジェクト研究の結果.http:/www.jsccr.jp/slide.html(2011年6月27日参照)
7)河内洋,江石義信,小池盛雄,他.SM癌治療における簇出の意義.武藤徹一郎(監),杉原健一,多田正大,他(編).大腸疾患NOW,日本メデイカルセンター,pp 127-132,2009
8)味岡洋一.早期大腸癌の病理─pSM癌の治療方針(大腸癌治療ガイドライン2005/2009).胃と腸 45 : 679-688, 2010
9)味岡洋一,田中信治.大腸SM癌内視鏡切除標本のSM浸潤度判定の実際と問題点.大腸癌研究会プロジェクト研究から.胃と腸 42 : 1501-1510, 2007
10)松田尚久,福澤誠克,浦岡俊夫,他.有茎性大腸SM癌のリンパ節転移・再発.武藤徹一郎(監),杉原健一,多田正大,他(編).大腸疾患NOW,日本メデイカルセンター,pp 82-89,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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