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文献詳細

雑誌文献

胃と腸46巻10号

2011年09月発行

文献概要

今月の主題 大腸SM癌に対する内視鏡治療の適応拡大 主題

内視鏡的完全摘除が可能なcSM癌―内視鏡治療手技における注意点─cSM癌に対するEMR

著者: 樫田博史1

所属機関: 1近畿大学医学部内科学講座(消化器内科部門)

ページ範囲:P.1497 - P.1510

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要旨 EMRは単に手技のみの問題ではなく,正確な診断,適切な治療方針の決定,切除標本の取り扱いと病理診断までのすべてを含めた一連の処置として扱う必要がある.特にSM癌の疑いがある病変に関しては,より慎重な判断と手技が求められる.内視鏡的に明らかなSM癌は,SM深部浸潤癌(SMm)である可能性が高いので,外科手術が優先される.本稿ではcSMを,“内視鏡所見からみてSMmは否定的だがSMsの可能性のある病変”として記述する.切除の結果SMmと判明してもよいように,断端陽性にしない切除と,病理診断に耐えうる標本作製を心がける必要がある.SM癌の可能性がある病変は,可及的に一括切除すべきである.スネアでの一括切除は,かつては20mm以内の病変に行っていたが,最近は30mm程度まで可能である.正しい適応のうえで行い,コツを習得すれば,確実かつ安全な治療を施行することができる.

参考文献

1)樫田博史,竹村織江,久行友和,他.EMR/EPMRのために忘れてはならないこと.消内視鏡 21 : 653-660, 2009
2)樫田博史,林武雅,細谷寿久,他.拡大観察・NBIからみたLST.胃と腸 45 : 969-980, 2010
3)樫田博史,林武雅,細谷寿久,他.分割EMRの位置づけと実際.INTESTINE 14 : 145-154, 2010
4)樫田博史.局注液の種類と特性.田中信治(編).大腸EMR・ESD,pp 64-65,羊土社,2008
5)樫田博史,林武雅,細谷寿久,他.局注のポイント─局注液の選択・局注のコツ.消内視鏡 21 : 1411-1419, 2009
6)樫田博史.EMR/EPMR(一括/分割切除).田中信治(編).スキルアップ大腸内視鏡・治療編.pp 44-57,中外医学社, 2010
7)樫田博史.EMR/ERMR─局注,スネアリングの達人になるために.消化器内視鏡 23 : 289-295,2011
8)樫田博史.切除標本の取り扱い.工藤進英(編).EMRのコツと落とし穴[2]下部消化管.pp 124-125,中山書店,2005
9)樫田博史,林武雅,細谷寿久,他.早期大腸癌の治療─EMR/EPMR.胃と腸 45 : 873-881, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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